今回は、大河ドラマ『光る君へ』第13回「進むべき道」で、元服して間もない一条天皇に入内した、高畑充希が演じる藤原定子を取り上げたい。

文=鷹橋 忍 

京都御所 写真=hana_sanpo_michi/イメージマート

母は才媛

 藤原定子は、貞元元年(976)に生まれたとされる(貞元2年説あり)。

 紫式部の生年も諸説あるが、仮に天延元年(973)説で計算すると、定子が3歳年下である。

 父親は井浦新が演じる藤原道隆、母親は板谷由夏が演じる高階貴子だ。藤原道長は叔父にあたる。

 定子の母・高階貴子は、高才と謳われた学者・高階成忠の娘である。

 貴子自身も漢詩文に造詣の深い才媛であり、坂東巳之助が演じる円融天皇に仕えた。

 凰稀かなめ演じる赤染衛門が作者ともいわれる歴史物語『栄花物語』巻第三「さまざまのよろこび」には、「女性ではあるが、漢字などを実に見事に書いたので、内侍に任命され、高内侍(こうのないし)と呼ばれた」と記されている。

 同母のきょうだいに、三浦翔平が演じる藤原伊周、竜星涼が演じる藤原隆家などがいる。

 定子は母・貴子から高度な教育を受けていたという。

 永祚元年(989)10月には着裳(成人式)が行なわれ、定子は翌年、一条天皇への入内することとなる。

 

15歳で一条天皇に入内

 定子が入内した一条天皇は、天元3年(980)6月、段田安則が演じる外祖父・藤原兼家の邸宅である東三条第で生まれた。

 定子より4歳年下となる。

 父は坂東巳之助が演じる円融天皇、母は吉田羊が演じる藤原詮子だ。

 寛和2年(986)6月、本郷奏多が演じる花山天皇が出家および、退位すると(「寛和の変」)、数えで7歳にして即位した。

 摂政には、一条天皇の外祖父・藤原兼家が任じられている。

 正暦元年(990)正月5日、一条天皇が11歳で元服すると、同月25日に定子が15歳で入内し(『権記』では14歳)、翌月11日に女御の宣旨を受けた。