メルセデス・ベンツは2024年3月26日(火)、マイナーチェンジを受けた新型「Gクラス」を発表した。2018年にフルモデルチェンジ(メルセデスでは大規模な改良と謳っている)を受けて以来、6年ぶりのアップデートとなる。

Mercedes-Benz G500

メルセデス・ベンツのアイコンのひとつ

本を正せば、メルセデス・ベンツがオーストリアのシュタイア・プフとの共同開発により1979年にリリースした本格的クロスカントリーオフローダー「ゲレンデヴァーゲン」に端を発する「Gクラス」。軍用車両としてNATOに制式採用されたという事実が、その類い希なるオフロード性能を物語っているだろう。

1979年の初代Gクラス。エンジン4種、ホイールベース2種、ボディ5種でローンチした

2018年にフルモデルチェンジを受けた際も、堅牢なラダーフレーム構造やリアリジッドアクスル、悪路走行に不可欠な3つのメカニカルデファレンシャルロック、そして角張った武骨なボディなど、デビュー時からの同車ならではの特徴は継承された。

2018年にリリースされたGクラス

一方で、フロントサスペンションがリジッド式から現代的なマルチリンク式に、ステアリング形式がリサーキュレーティングボール式から乗用車でおなじみのラック&ピニオン式電動パワーステアリングに変更されるなど、運転のしやすさや快適性が大幅に向上。高級サルーンに引けを取らない上質なインテリアや、時代に即したインフォテインメントシステム、そして運転支援システムなども備わり、高級SUVとして揺るぎない人気を誇っているのはご存じの通りだ。

デビュー45周年を迎える2024年にデビューした最新モデルも、アイコニックなエクステリアデザインをはじめとするGクラスならではの伝統を継承しつつ、パワートレーンからインフォテインメントシステム、運転支援システムまで、各所に大幅なアップデートが図られた。

今回、発表された新型も基本的なたたずまいは変わらず

全モデル マイルドハイブリッド化

最大の特徴が、全モデルのパワートレーンがISG(インテグレーテッド スターター ジェネレーター)+48V電気システムのマイルドハイブリッドに電動化されたこと。メルセデスでは、これによりアクセルレスポンスとオンロードでの快適性の向上、さらに燃費の改善を図ったとしている。

画像はガソリンエンジンモデルのG500

まずディーゼルモデルだが、今回の改良で名称が「G400d」から「G450d」に改められた。3リッター直列6気筒ディーゼルターボエンジンは、最高出力が従来モデル比でプラス37PSの367PS、最大トルクがプラス50Nmの750Nmに向上した。燃費は10.0- 8.7 l/100 km。

ガソリンモデルは、4リッターV型8気筒の「G550」が廃され、新たにターボチャージャーと電動コンプレッサーによるツインターボチャージャーを備えた3リッター直列6気筒エンジン搭載の「G500」がラインアップに加わった。同ユニットは449PSの最高出力と560Nmの最大トルクを発生する。燃費は12.3 ~ 10.9 l/100 km。

トップグレードであるメルセデス AMG「G63」は従来型と同様、最高出力585PS、最大トルク850Nmを発揮する4リッターV型8気筒ツインターボエンジンを搭載。燃費は15.7 ~ 14.7 l/100 kmとなる。

G63は相変わらずのハイスペック

いずれのモデルも、発進時や加速時など走行シーンに応じて、ISGにより最高出力20PS、最大トルク200Nmが加勢する。

トランスミッションはいずれのモデルも従来通り9G-トロニックATが組み合わされる。

足まわりは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがリジッドアクスルという形式は変わらないものの、従来型では一部モデルではオプションとなっていたアダプティブ ダンピング システムが、全車に標準装備された。走行状況に応じてダンパーの特性を連続的に調整する同システムにより、オフロードでのコントロール性とオンロードでの快適性が向上する。

G63については、メルセデス AMG「SL」などにも採用されているAMGアクティブライド コントロール サスペンションが新たに用意された。従来のトーションバーによる機械式のスタビライザーに替えて、アクティブに油圧を制御するアンチロールスタビライザーとアダプティブダンピングシステムを組み合わせたもので、俊敏で正確なハンドリングとフラットな乗り心地を両立するという。

G63

走行状況や気分に応じてドライビングモードを切り替えることができるダイナミックセレクトにも手が加えられた。従来型では「コンフォート」「スポーツ」「エコ」「インディビジュアル」の4モードのみだったのに対し、新型には未舗装路や砂利道に適した「トレイル」、硬い岩などの不整地に最適化された「ロック」、そして砂地向けの「サンド」という3つのオフロード走行モードが追加された。

アイコニックなルックスは当然キープ しかし……

前述の通り、アイコニックなデザインのエクステリアは一見、従来型のままだ。しかし目をこらすと、わずかではあるが刷新されていることに気づく。例えばラジエターグリルは従来型が3つの水平ルーバーが備わったのに対し、新型では4つに。前後バンパーも若干ではあるがデザインが変更された。

G500

注目すべきは、GクラスのBEV版である「EQG」用に開発されたディテールが採用されていること。Aピラーに施された、整流効果のある樹脂製パーツや、ルーフ端のスポイラーリップだ。これらにより、空力特性と風切り音の低下による快適性の向上が図られている。

おなじみのドアハンドルのデザインも不変だが、新たにキレスエントリー機能が備わったのは朗報だろう。これにより、キーをポケットから取り出すことなく、ドアハンドルのボタンに触れることでロックを解除できるように。ちなみに、ドアを閉じたときの金庫を閉めたような特徴的な音も残されているという。

G63

インテリアも外観と同様、従来型から大きな変化はない。最大の特徴は、何といってもインフォテインメントシステムに最新世代の「MBUX」が採用されたことだろう。「ハイ、メルセデス」の音声コマンドによりナビや空調を始めとする各種操作が可能となったほか、12.3インチディスプレイもタッチコントロールができるように。ナビゲーションシステムも、車両前方に広がる現実の景色をナビゲーション画面に映し出し、進むべき道路に矢印を表示するMBUX ARナビゲーションにアップデートされた。

さらに、ステアリングホイールもタッチコントロール式の最新デザインに変更され、センターコンソールのコマンドコントローラーもパッド式に刷新されている。

オフロード走行をサポートする機能も充実。例えば、ディスプレイに地平線、方位、前車軸のステアリング角度、パワー、トルク、タイヤの空気圧、デファレンシャルロックのステータスなどの車両情報を表示できるようになったほか、360度カメラを用いて、ボンネット下の路面の状況を仮想ビューとして映し出すトランスペアレントボンネット機能も採用された。

高度運転支援システムが最新仕様にアップデートされたのも新型の特徴である。特に注目したいのが、新たに採用された1)アクティブ ステアリング アシスト 2)アクティブ緊急停止アシスト 3)ルートベースのスピード調整機能だ。1)は走行時に車両自らがレーンの中央を維持するようステアリングコントロールを行うもので、Gクラス以外のメルセデス各車にはすでに実装されている。2)はドライバーが急病などで運転に介入しなくなったことを確認すると、車両自らがブレーキをかけて停止する機能。3)は車両がカーブや交差点、料金所などを感知し、自動的に速度をおとす機能となる。

このように内外のデザインを最小限の変更にとどめながら、中身は大幅に進化した新型Gクラス。導入タイミングなど今後の情報も注目したい。