ウブロは毎年多くの新作を製作し、毎年新しい試みを披露してくれる。2021年は、オールサファイアクリスタル製のモデルが登場。予想もしなかった素材の新作に驚いたのだが、それもやはりウブロらしい。他にもイエローセラミックのモデルや元祖「ビッグ・バン」の進化型が見られるなど、やはりウブロは面白い。

文=福留亮司

自動巻き(Cal.HUB6035 トゥールビヨン)、サファイアクリスタルケース、ケース径43㎜、4901万6000円

ビッグ・バン インテグラル トゥールビヨン フルサファイア

 価格的には普通の人が手を出せるものではないのだが、いかにもウブロらしいというか、まずモデルを見てびっくりしたので紹介したい。これはケースもベゼルもブレスレットもすべて、サファイアクリスタルという驚きの造形。サファイアクリスタルとは、通常時計の風防に使用されているとても堅牢なクリスタルで、サファイアと同じ組成の人工サファイアのことを言う。硬さの基準であるモース硬度は「9」。ダイヤモンドが「10」なので、その次にランクされるものである。もちろん、相当な硬さだけに加工が大変。このモデルを製作するには、かなりの時間を要したことだろう。しかも、このモデルに搭載されているのは自社製トゥールビヨンである。スペックを見るだけで、いかに高価なものかが想像できるのだ。今年は同様のトゥールビヨンをオレンジサファイアクリスタルなど4本ローンチしているが、ブレスレットまですべてサファイアクリスタルというのは、この1本のみである。

自動巻き(Cal.HUB1280)、イエローセラミックケース、ケース径42㎜、305万8000円(250本限定販売)

ビッグ・バン ウニコ イエローマジック

 目の覚めるようなカラーだ。これまでに腕時計もさまざまなカラーが出てきたが、これほど明るいイエローに出会ったのは初めてだろう。なぜなら、多くのカラーモデルに使われてきたセラミックでも、このイエローを再現するのは非常に難しく、不可能に近いとされていた。それをやってのけたのは素晴らしいの一言。ウブロ初のブライトイエローのセラミックウォッチ、ということである。ミドルケースやダイヤル、リューズなどに配されたブラックカラーとの相性も良く、人気が出そうな1本だ。内容は、42㎜のクロノグラフで、最小サイズの自社製クロノグラフムーブメント「ウニコ2」が搭載されている。程よい大きさで、薄型。さらに約72時間ののパワーリザーブも備えており、実用性も十分であろう。装着されているストラップはラバーで、ブラックで縁取りされた鮮やかなイエローである。

自動巻き(Cal.HUB1280)、ブルーセラミックケース、ケース径42㎜、268万4000円

ビッグ・バン インテグラル セラミック ブルー

 高級腕時計に革命的な新風を吹き起こした「ビッグ・バン」のデザインを踏襲しているようだが、元祖のラバーストラップとは違い、ニューモデルはケースとブレスレットが一体型となっている。インテグラル=完全な、という意味を持つインテグラルだけに、ストラップも同様のものでなければいけなかったのだろう。それにウブロのセラミックは、ジルコニウムをベースとして高温で焼結しているため、非常に硬く、ほとんど傷もつかないという。そう言う意味でも“インテグラル”なのかもしれない。ウブロらしい素材の融合は、プッシュボタンに見られる。搭載のムーブメントは、部品数354パーツの自社製クロノグラフムーブメント「ウニコ2」。45㎜ケースが主流の「ビッグ・バン」において、42㎜ケースは小型。そこに収めるために小型化・薄型化されたものだ。このシリーズは、裏蓋、ダイヤルの双方がシースルーになっていて、表裏どちらからでもムーブメントを鑑賞することができる。カラーバリエーションは、グレー、ホワイト、ブラックマジックを含め4色となっている。