4回目を迎えたチャレンジ企画。少し間隔が空いたが、今回はスポーツ系、それも格闘技に挑戦することになった。選んだ競技はキックボクシング。これは、この企画がスタートした時にTAKIさんと「いずれやりたいねぇ」と話していたものだ。それで、そろそろいいんじゃないかということで、実施することになった。とはいっても、まったくアテはない。そこで湘南地区のキックボクシングジムをネットで検索。すると藤沢、茅ヶ崎には複数のジムが存在することがわかった。どこがいいのかさっぱりわからないので、ホームページをじっくり読んで検討した結果、藤沢駅近くの「クロスワンジム湘南」がいいのではないか、と決めて、まずは連絡を入れてみた。すると電話に出たのが会長だった。企画内容を説明すると快く引き受けていただき、体験することになった。
本格的な人たちがやっていたジム
「私、昔ここの前をよく通っていて、ジム自体は知ってたんです。でも、プロっぽい本格的な人たちがやっていたので、体験ができるなんて思ってもみなかったんですよ」
キックボクシングを体験する日にジムの前でTAKIさんからそう言われ、ちょっと緊張しながら「クロスワンジム湘南」の門をくぐった。現在は無料体験も実施しており、我々のような初心者も受け入れてくれている、とても明るい雰囲気のジムだ。
「フィットネスジムとかで教えているところもありますが、そういうところは空調にアロマがついていたり、床もフワフワだったりするんですが、ここは汗臭いと言うか、本格的な感じがしました」(TAKI)
実際にこのジムは選手を目指すものたちが集う本格派だったらしい。5年ほど前にフィットネス目的の人たちも受け入れるようになり、現在の形になったという。
僕らが体験するのは「Body Make Kickboxing」クラス。先生はフィジカルトレーナーのTAIYOさん。そして、今回の体験についての窓口にもなってくれた古河たすくさん。古河さんは日本フェザー級3位にまでなったキックボクサーである。お二人とも明るいナイスガイなので、緊張することなくできそうだと少しホッとする。
他のメンバーには女性もいるし、ジムで最高齢という71歳の人もいる。この方は結構やっているみたいで、身体も締まっている。みなさん真剣だが、楽しんでやっているようなので、こちらもなんとかやれそうな気がしてきた。
トレーニング前に、古河さんから「運動は何かやっていました?」と聞かれ、剣道をやっていたことを告げる。ただし高校までだったので、もう40年以上もやっていない。経験といってもまったく意味はない。一方、TAKIさんがヨガインストラクターであり、波乗り歴20年以上ということを知ると、TAIYOさん、古河さんともに、「大丈夫だ!」というような表情になった。確かに、大変なのは僕の方だよなぁ、と妙に納得してトレーニングに入った。
まずはフィジカルトレーニングから
まずはTAIYOさんを中心にフィジカルトレーニング。車座になってストレッチから。僕は久々の運動ということもあって、この段階からすでに脚の裏側が痛い。そして、スクワット、サイドニーレイズ、バイスクルクランチと進んでいく。もう汗が吹き出している、ヤバい!と思いながら、なんとかついていく。
隣を見るとTAKIさんは平然とこなしている。
「いつもやっていることなんで!」
まあ、当然と言えば当然である。それでも本人は、1レッスン仕事をこなしてからの参加なので多少疲れているということなのだが。
僕はというと、進行を確認するためにテープを録っていたので、後で聞いてみるとそこから「ウッ!」とか「ウーン」という唸り声が聞こえてくる。無意識に出ていたみたいだ。いまさらだが、こんなことで大丈夫なのか?って感じである。
そして、ひと通りストレッチが終わると、ハシゴのようなものが出てきた。TAIYOさんから「ラダーといって、これでいろんなステップをして身体を温めますので」という説明があり、ステップのトレーニングがはじまった。
列になって、見様見真似で前の人についていく。足がもつれる。TAKIさんも、このトレーニングは初めてらしく最初は戸惑っていたが、2巡目になると順応したようでスムーズにこなしはじめる。僕は2巡目になってもついていくのがやっとだった。当然、僕も初体験。いろんなステップがあるもんだということ、さらに、どんなものでもトレーニングの道具になるんだなぁ、と妙に感心していた。TAKIさんも「ジャンプしながら、これもキックの準備みたいなことをおっしゃってたと思うんですけど、独特なトレーニングなので新鮮でしたね」と。
悲鳴が上がる体幹トレーニング
ラダートレーニングが終わると、体幹トレーニングに移る。四股の状態を保ったり、足を上げたり、といった姿勢を30秒間続ける。これらを順に続けていく。これはかなりしんどい!さすがに、あちこちから悲鳴が上がっていく。
でもTAKIさんだけは苦もなくこなしている。すると他のメンバーから「スゴいですね、ヨガとかやっているんですか?」との声が。「ヨガの先生です」と古河さんが明かすと、「だから姿勢がキレイなんだ!」と一同納得したのだった。
「もうかなり疲れてますね」
ファインダー越しにずっと見ていたフォトグラファーの三田村くんから、半笑いで言われた。まあ、その通りなんだけど。その横でTAKIさんが「楽しいですね」の一言。これには僕も半笑いになった。
そしてグローブを装着して、ここからが本番!まずは構えから。初心者2人は鏡の前、最前列に立たせてもらった。
「拳は基本的に軽く握っとくだけ。当てる瞬間だけキュッと強握ります。パンチは当てたらすぐ引きます!」
肩幅の広さに脚を開く。右利きは左足を前にして構える。手(グローブ)はコメカミのあたりで、肘を開かないように。まず基本的なことを教えてもらう。その態勢から「そのまま左を前に出して戻す。その時、肩と腰を同時に真ん中の軸で回す」。ジャブである。その動作を何度も繰り返す。
パンチは内側からまっすぐ
次に右のパンチ、ストレートである。「肩、腰を回して」パンチを出す。パンチは内側からまっすぐ出す。そして戻す。打つ時に息を吐く。この段階では、なんとなくできているような気がする。ミットも打たせてもらう。ちょっと気持ちいい。まずはワンパンチずつなので頭の中でも理解しており、良い感じだと勝手に思う。
すると、その次に進み、ワンツーを打つという。左ジャブ、右ストレートを打って戻るのだ。それを繰り返す。
それが終わると左アッパーに。こちらも肘を絞って、相手の顎を打つ。下から上に突き上げるように打つ。お臍の上から真っ直ぐ上に、である。ジャブやストレートとは勝手が違う。しかもワンツースリーでのアッパー。打ったら戻そうと思ってはいても、どうしても打ちっぱなしになってしまう。コンビネーションは難しい。
最後はフック。こちらは体を開いて打つので別物である。しかも当てる瞬間に手首をクッと入れるということで、やってみるけど、なかなか上手くいかない。そして、ワンツー、フック。コンビネーションになると難度は急激に上がる。ここにくると上手くいかないことが多く、思わず笑いも起こる。
パンチがひと通り終わると、次はキックに。最初は膝蹴りだ。脚はジャブの時と同じでステップインして膝を曲げる。これは先ほどやったトレーニングの中にヒントがあったようだ。踵とお尻を寄せる。蹴り足をたたむ。で、伸び上がる力で腰を出して当てるということである。
僕は伸び上がってしまい上手くいかないが、TAKIさんは上手である。形もキレイ!体幹の違いか、軸がぶれてないのだ。
コンビネーションは難しい
膝蹴りの次はミドルキック。これもパンチと一緒で上げてすぐ戻す。キックは思っていた以上に難しいことがわかった。
最後はコンビネーション。古河先生の指示にしたがって打っていく。最初はワンツー、フック。続いて左カット、ワンツー。そしてジャブジャブなど、次々と指示が飛び、初心者はなんとかついていく感じだ。もうワンツー、フック、アッパーになると、腰が入ってないのがわかる。動かすところが多すぎて、もはや腕にしか意識がいかないのだ。
そして、コンビネーションをひと通りやって終了。キツかったけど、とてもいい汗をかいた。気持ちがいい。これはマジで入会しようかと思うくらい楽しかった。TAKIさんも興味を持ったようだ。
「サーフィンをやってなかったら通っていたかもしれませんね。エクササイズとしてこれは楽しいなと思いました。ちゃんとできるようになりたいなっていう気持ちは湧くし、習い事としてすごく楽しいんじゃないかな。エクササイズとして続けると、結構お腹とか引き締まる感じがしました」
さらにプロのインストラクターからの目線から、こうも言う。
「本当にたくさん体験させていただいて、スゴくいい流れで、バランスも良くて考えられたいい構成でしたね。面白さというか、興味を湧かせるような内容になっているな、と。マシーンのトレーニングが苦手な人にはオススメです。そして、何よりも先生がおふたりともよかったです」
僕はトレーニングがキツかったのでそこまでの余裕はなかったが、それでも2時間弱で充実した時間が過ごせるのが素晴らしいと思った。筆者はキックボクシングも好きで観戦にも行き、偉そうなことも言っていたが、今回の体験で見方が変わるかもしれない。言うは易し行うは難し、である。
でも終わった後で一番気になったのは、これからやってくる筋肉痛。やはりというか、当然、翌日にはしっかりと筋肉痛になったのだった。
次回、第5回は平塚で合気道を習います。これも初めての武道。高校まで剣道をやってたので、少しはマシかも、と思いつつ、不安がいっぱいです。