853年にスイスで創業した時計ブランド「ティソ」が、1970年代のレトロテイストな魅力を持ったPRXのデザインと、1977年に発売されたデジタルクォーツ(キャリバー2040搭載)を融合させた特徴的なモデルを発表。ウォッチメイキング黄金時代へのオマージュでありながら、未来への宣言として位置づけられるタイムピースとして注目したい。

TISSOTがこのモデルで表現するのは、「バックミラーを通して未来を見つめる」こと

1853年の創業以来、TISSOT(ティソ)は、クラフツマンシップとクオリティにこだわりながらも、最新の技術を取り入れ、クォーツムーブメント誕生以降はクォーツモデルについても多彩なラインナップを作り続けてきた。

1972年には、ティソ初となるデジタル表示のクォーツモデルを披露(※写真上のモデル)。流線形のメタリックダイアルを伴ったこのモデルは、ダイアル上に配された小さなディスプレイに時刻が表示される仕組みだ。このモデルはプロトタイプとして実際に流通されることはなかったが、ティソのデジタルウォッチのベースは、このモデルによって築かれた。

時代が進み、1976年に自動車デザイナーのヌッチオ・ベルトーネ(1914年~1997年)が手掛けたモデルが「Tissot Stratos by Bertone」だ(※写真上のモデル)。このモデルには、極めて精度の高い時刻表示(時、分、秒の表示、月差最大±5秒)、年・月・日の日付表示、2タイムゾーン表示、100分の1秒単位のクロノグラフ計測機能(中間時の測定も可)、夜間のディスプレイ点灯など、多彩な機能が備わっていた。

ティソによるデジタルコレクション(1970年代〜80年代の製品)

こうしたデジタルクォーツを作り続けてきたティソが、現代の高度な製造技術を駆使して新たに製作したのが、「ティソ PRX デジタル」シリーズ。サテン仕上げの高品質なケースとブレスレットに特徴を持ち、バックライトやデュアルタイムゾーン、デイデイト、クロノグラフ、タイマー、アラームなどの各種機能を備えている。

ステンレススチールまたはゴールドPVDを施したケースとブレスレットに、ブラック、シルバー、ゴールドと3つの文字盤カラーを組み合わせ、全6モデルをラインナップ。35mmもしくは40mmのケースサイズが選択でき、すべてスイス製DGT-2040クォーツデジタルムーブメントを搭載する。風防はキズが付きにくいサファイアクリスタルガラス製だ。

この時計が主張する個性は、1970年代に時代の最先端として誕生した熱量を伴ったデザインにある。そのテイストを現代の技術に置き換え、レトロ感をフィーチャーする方向でスマートにまとめているところが素晴らしい。スマートウオッチ全盛時代に、あえて時代を逆行するデジタルクォーツで、オリジナリティを追求する……。そのスタンスが、ティソが言う「バックミラーを通して未来を見つめる」行為なのである。

ティソ PRX デジタル、クォーツ(Cal.DGT-2040)、電池寿命4年(標準使用時)、ケースとブレスレットはステンレススチール(一部モデルはゴールドPVD)、ケース径35mmまたは40mm、インターチェンジャブルブレスレット、10気圧防水、価格5万2800円(35mmモデル)、6万6000円(40mmモデル)※ともに税込

問い合わせ TISSOT(ティソ) TEL:03-6254-5321