スイスの腕時計ブランド、チューダーが意欲的に発表したブティック限定モデル「ブラックベイ クロノ "ブルー”」。この新作は、ブランドの歴史と革新性を見事に融合させた逸品だ。ブティック限定モデルとして登場するこの時計は、チューダーの個性があふれる「チューダー ブルー」ダイヤルを特徴とする。
チューダーブルーは、ブランドの永続的な美意識を象徴
チューダーブルーは、単なる色以上の意味を持つ。それは、ブランドの歴史と深く結びついた象徴的な色彩だ。特筆すべきは、このブルーがフランス海軍に愛されてきたという事実。海と空の色を思わせる青は、チューダーの冒険精神と、その美学における永続性を体現している。
実際に、ブルーモチーフはチューダーの数々のモデルに採用されてきた。なかでも『ブラックベイ58』のブルーダイアルは、チューダーファンの間で熱狂的な人気を博している。そして今回、この伝統あるカラーリングが『ブラックベイ クロノ』に採用されたことで、多くの時計愛好家の期待に応える形となった。
また『ブラックベイ クロノ』は、チューダーのふたつの重要な伝統を融合させた傑作だ。1970年に発表されたブランド初のクロノグラフ、オイスターデイトの血統を引き継ぎながら、1954年以来進化を続けてきたプロフェッショナル ダイバーズウォッチの特徴も受け継いでいる。
ブルーダイヤルとふたつのサブカウンターが特徴的な『ブラックベイ クロノ "ブルー"』。スポーティかつ高級感あふれる仕上げが目を引く。
41mmのスチール製ケースは、サテン仕上げとポリッシュ仕上げが施され、面取りされたラグとチューダーローズが刻印されたリュウズが特別な存在感を放つ。アルマイト加工インサートとタキメーター目盛りを備えたステンレススチール製固定ベゼルが、スポーティな外観と高い機能性を兼ね備えている。
時針には、1969年以来チューダーのダイバーズウォッチのアイコンとなっている「スノーフレーク」針を採用。2つのサブカウンターが配されたブルーダイアルは、最適な視認性を確保している。
チューダーの象徴的な"スノーフレーク"針を採用。視認性の高いブルーとホワイトのコントラスト、そして精緻な作りの文字盤が印象を際立たせる。
革新的なクラスプで快適な装着感を実現
新しい『ブラックベイ クロノ』は、装着感にも大きな進化が見られる。ステンレススチール製5列リンクブレスレットに、チューダー独自の"T-fit"アジャスティングシステム付きクラスプを搭載。これにより、工具不要で簡単に8mmの範囲を5段階で調整できるようになった。
革新的な"T-fit"クラスプを搭載したステンレススチールブレスレット。工具不要で簡単に調整可能な機能性と美しさを備える。
さらに、クラスプにはセラミックのボールベアリングが採用され、スムーズな操作感と確実な留め具合を実現。この新しいクラスプにより、様々な環境や状況に応じて最適なフィット感が得られるようになった。ダイバーズウォッチとしての機能性と、日常使いの快適さを高次元で両立させているのだ。
一方、『ブラックベイ クロノ』の心臓部には、マニュファクチュール クロノグラフキャリバー MT5813が搭載されている。約70時間のパワーリザーブと耐磁性シリコンバランススプリングを備え、COSC認定を取得。さらに、チューダーは独自の厳格な基準として、組み上げた状態で日差 -2秒から+4秒という高精度を実現している。
スムースなプッシュ操作を実現するコラムホイールメカニズムと、針飛びを極力抑える垂直クラッチを採用したこの高性能ムーブメントは、ブライトリングとの協力関係から生まれたもの。両社の技術力を結集し、チューダーならではの仕上げと調整を加えることで、独自の個性を持つムーブメントへと昇華させている。
『ブラックベイ クロノ "ブルー"』は、チューダーの70年以上にわたるクロノグラフの歴史と、ダイバーズウォッチの伝統を見事に融合させた一本だ。「ネオビンテージ」と呼ばれるこのコンセプトは、単なる過去の復刻ではない。チューダーの豊かな遺産を現代によみがえらせ、最新の製造技術と卓越した信頼性、堅牢性、精度を加えることで、高度な実用時計として進化させている。
41mmのスチールケースに収められた『ブラックベイ クロノ "ブルー"』。チューダーの伝統と革新が融合した逸品。
日本国内では、銀座・渋谷・大阪・金沢・広島・福岡のブティックにて順次発売。5年間の保証が付き、約10年に1回のオーバーホールが推奨されている。チューダーの歴史と革新が凝縮された、現代の名作と呼ぶにふさわしい一本であり、その魅力的なルックスは時計愛好家でなくとも手に入れたくなるほどだ。