2022年に始動したTUDOR(チューダー)とアリンギ・レッドブル・レーシングとのコラボレーション。アリンギ・レッドブル・レーシングとは、国際ヨットレース「アメリカズカップ」に参戦するスイスチームである。洋上をまるで浮き上がるようにして滑空する様は、造船工学、流体力学をはじめとする最先端技術の粋を集めたものだ。そして”海のF1”とも称されるレース出場艇にふさわしく、TUDORによるコラボレーションモデルには、このブランドきってのタクティクスウオッチ「ペラゴスFXD」が選ばれた。

トリプル素材で構成された新設計のケース構造

あの大きな船体が浮き上がるのはなぜ? と、いつ見ても思うのだが、下の写真のとおり、アメリカズカップに参戦するチームの船は、船体が完全に水面の上に船体を露出させ、まるで滑空するように、凄まじいスピードで海の上を進んでいく。

船体が水面から浮き上がった状態で、洋上を走行するアリンギ・レッドブル・レーシングの船体

その奇跡の走行スタイルを作り出すのが、最先端の海洋工学よってデザインされた船体だ。素材にはカーボン、チタン、ステンレススチールを独自混合させているという。

TUDORはコラボレーションモデルを製作するにあたり、その船体の素材使いからインスピレーションを得た。『ペラゴス FXD』をベースモデルに、新しくハイテクカーボンコンポジット素材を用いてケースを製作。ベゼルとリューズ、プッシャーにはチタン、ケースバックとインナーケースには316Lステンレススチールを組み合わせ、時計としての完成度を、既存モデル以上に高めたのだ。

ハイテクカーボンコンポジット素材によるマットブラックのケースの質感が他のどのモデルとも異なり、異彩を放っている
 

今回はセンターセコンドモデルとクロノグラフモデルの2モデルがラインナップしたが、両者のデザインコードは統一されている。なかでも、ベゼルの存在感が際立った印象を受けるが、これはチタン製ベゼルのインデックス部分にハイテクカーボンコンポジットをインサートして、さらにグレードX1のスイス製スーパールミノヴァ®を施しているためである。人間の顔で例えるならば、極めて彫りが深く、目鼻立ちがハッキリとしているのだ。

ファブリックストラップは文字盤と同色のブルーに、赤のアクセントを施したもの。アリンギ・レッドブル・レーシングチームのアイコンカラーがスマートに表現されている。『ペラゴス FXD』は、ラグが固定されていて、専用のファブリックまたはラバーストラップのみ装着が可能。しかし、それがまた潔し。この雰囲気ならば、あらゆるシーンで時計を着用することができそうだ。

ブラック、ネイビー、レッドの3カラーコンビネーション。多色使いであっても、落ち着いた雰囲気を持ち合わせている

搭載するムーブメントは、両モデルともにマニュファクチュールキャリバーだ。しかも、ともにスイス公認クロノメーター認定を取得。高精度な機械式時計として、絶対的に信頼のおけるモデルとなっている。

『ペラゴス FXD クロノ “アリンギ・レッドブル・レーシング” REFERENCE 25807KN (CHRONOGRAPH)』 自動巻き、ブラックカーボンコンポジット製ケース、ステンレスケースバック、43mm径、チタン製リューズおよびプッシャー、両方向回転ベゼル、ファブリックストラップ、200m防水、65万2300円(税込)