オリエントスターが、ダイバーズウオッチ発売60周年を記念して特別なモデルを発表した。『M42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト 200m チタン』と名付けられたこのモデルは、1964年に発売された『カレンダーオートオリエント』のデザイン要素を現代的に再解釈したものである。
チタン製ケース&ブレスレットにゴールドカラーのアクセント
『カレンダーオートオリエント』が誕生した1964年は、東京オリンピックが開催された年であり、同時にダイバーズウオッチ黄金期の只中でもあった。複数のブランドが競うように高性能なダイバーズモデルを発表する中、オリエントスターもその流れに乗り、独自の魅力を持つモデルを世に送り出したのだ。
注目すべきは、パワーリザーブインジケーターと日付窓のダブル搭載である。これらは、ダイバーズウオッチでは珍しい搭載例だが、実用面においては非常に有用である。潜水時の残り駆動時間の確認や、陸上での日付チェックが容易に行えて、利便性が高いのだ。ダイバーズウオッチとしての基本性能を備えながら、日常生活にも寄り添う地に足がついた製品コンセプトは、オリエントスターらしい発想である。
60年の時を経て再登場したこの記念モデルは、最先端のチタン素材を外装に採用しながら、ヴィンテージ感溢れるデザインを融合させている。このモデルの特徴的な点は、チタニウムのグレイッシュな色調とゴールドのアクセントカラーの組み合わせだ。艶を抑えたチタンの質感に、ゴールドの装飾が映えている。文字盤の縁取り、インデックス、そして回転ベゼルの目盛りに施されたゴールドのアクセントは、まるで経年変化を連想させるヴィンテージアイテムのような温かな印象を携えている。
黒文字盤に白のインデックスで最も高いコントラストを形成。それに加えて、ゴールドの縁取りを伴うことで、経年変化の温かみを表現している。
現代のライフスタイルへのスムースな適応
ケースに留まらず、ブレスレットすべてにチタン素材を採用することで、全重量の約35%を軽量化。これは重厚になりがちなダイバーズウオッチにおいては特にメリットが高い。さらに耐腐食性や金属アレルギーへの配慮においても、現代のライフスタイルに適した進化を遂げている。
近年、ヴィンテージダイバーズがトレンドとなっている。その背景には、1950年代から60年代にかけて誕生した時計のデザインに対する憧れがある。この時代は、機械式時計が一際輝きを放っていた時期であり、機能がデザインを形作っていた。それゆえ、形状ひとつひとつに説得力があるのだ。現代の時計愛好家たちが、時計にロマンや装飾性を強く求める中で、当時の勢いのあるルックスが魅力的に見えるのは当然である。
オリエントスター 『M42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト 200m チタン』は、まさにこのトレンドを捉えつつ、独自の解釈を加えた好例と言えるだろう。60年の時を経て、まったく色褪せない魅力を持つこのタイムピースは、オリエントスターの当時のコンセプトが正しかったことを如実に物語っている。