正統派ドレスウオッチの復活
セイコーウオッチのブランド、クレドールが今年50周年を迎えた。そして昨年、薄型のメカニカルウオッチ『ゴールドフェザー』が60余年ぶりに蘇り、今年、ブランド誕生記念のモデルとして限定で発売されることになった。
『ゴールドフェザー』は、羽根のように「薄く」「軽やかで」「空気をはらみ」「艶やかで」「優美」であることをデザインコンセプトとし、現代のドレスウォッチとしてふさわしいスペックとデザインにアップデートした U.T.D.モデルでもある。
U.T.D.とはUltra Thin Dressの略で、1969 年に発売された『セイコー U.T.D.』モデルから使用されている長い歴史を持つ名称。厚さ1.98㎜の極薄機械式ムーブメント「キャリバー68系」を搭載した薄型メカニカルウォッチを指している。薄く、美しさに加え、実用性も備えているのが特徴だ。
今回の限定モデルのダイヤルは、当時採用されていた繊細な和紙のような風合いのパターンを現代的に、優美な球面状のダイヤルにアレンジ。柔らかさの感じられるケースフォルムと温かみのあるシルバーを組み合わせ、ブランド創成期から受け継ぐ繊細な感性を注ぎ込んだ、50周年にふさわしい限定モデルとした。
またインデックスは、職人の手書き版下による繊細優美なローマ数字を再現するため、当時の印刷技術を現代に復活させた。たとえば、ローマ数字の V や X の交差部分がつぶれないように「スリット」をいれることによって印刷時にインクを溜まりにくくしたり、ローマ数字の直角部分のエッジに「ひげ（書体の角につける飾り）」をいれて角を延ばし、ローマ数字がすっきりとした印象になるよう補正。さらに印刷を幾度も重ねる現代の技法を加え、当時よりも立体的で艶やかなインデックスに仕上げられている。
さらに、羽根の羽軸のような形状の時分針の中央に細い線を印刷し、さらに分針をダイヤル に沿って曲げることによって、より高い視認性を確保している。シースルーバック仕様の裏ぶたからは、熟練の職人が一点一点手作業で丁寧に下地を磨 いてから色むらが出ないように焼く、テンパー仕上げのねじの鮮やかなブルーと、美しいムーブメントの仕上げを楽しむことができる。
