文=JBpress autograph編集部

紙素材のラグジュアリーストラップ

 今年も新作時計が発表されはじめた。毎年、新しいモデルにお目にかかれる春は、時計ファンにとって待望の季節でもある。

 そんななか、IWCは新作発表を前に画期的なストラップを発表した。それはForest Stewardship Council(FSC:森林管理協議会)の認証を受けたヨーロッパの木材を採用した紙素材を使用したもの。まったく新しいラグジュアリーなストラップ「TimberTexストラップ」である。

 IWCは「創業から153年もの間、一貫して時計分野のプロダクトデザイン、素材開発、製造手法をリードしてきました」というように、ライン川を利用した水力発電による電力の活用したり、素材もチタンやセラミックをいち早く採用したりと、革新技術の追求を常に行なってきている。

 もちろん伝統のレザー素材のストラップについても責任ある調達源から入手している。ただ、動物からとった皮革素材は身につけたくない、と考える人々が存在することも確かである。これまでにステンレススティールのブレスレットやラバー、ファブリック素材のストラップを製作してきたのは、多様性への対応と技術革新への挑戦でもあった。この「TimberTexストラップ」もその延長線上にあると言っていいだろう。

 使用するセルロースは、FSCの持続可能な責任ある管理体制の下、同団体の認証を受けた木材から製造される。その後は、イタリアの伝統的な製紙技術で着色が行われ、植物由来の染料を使用することから個体差が生じるため、ひとつとして同じものができない。唯一無二のストラップが仕上がるのである。

 このストラップは、完成までには60以上の工程が必要であり、快適性をさらに高めるために再生マイクロファイバーを詰め、再生糸を用いて職人の手で仕上げが施される。この工程によって、レザーでは得られない独特の着用感が備わるのだ。耐久性に加え、防水性も高く、プールに飛び込んでもまったく問題ないという。

 現在「TimberTexストラップ」は、「ポルトギーゼ・クロノグラフ」、「ポルトギーゼ・オートマティック40」、「ポートフィノ・オートマティック」、「ポートフィノ・クロノグラフ」の4モデルで着用可能。ブルー、ブラウン、ブラックでカラー展開している。

 環境に配慮した紙製のストラップは、以前から社会貢献へ積極的なIWCらしい最新技術といえよう。