オーデマ ピゲの2021年は、引き続き新しいコレクション「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」の新作を中心にラインナップされていた。19年の発表当初から多くのバリエーションを備えていたため、その後の展開が心配されたが、新しい試みを行うなど、順調に進化していると言っていいだろう。また、人気コレクション「ロイヤル オーク」からも新作が加えられ、充実の21年となった。
文=福留亮司
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ
2019年に登場した「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」は、ダイヤルとケースバックに挟まれたオクタゴンのミドルケース、肉抜きされたラグホールや立体的なブランドロゴ、特徴的なアラビア数字、極薄のベゼル、光の加減によって表情を変えるカーブした風貌など、語るべき特徴的なディテールを数多く持っていた。その「CODE 11.59」も3年目を迎え、新しいモデルをラインナップに加えてきた。当初から多くのバリエーションを備えていたため、新作の開発がいつまで続くのかと思っていたが、2021年は、予想とまったく違うアプローチの新作を用意してきた。それがミドルケースにブラックセラミック素材を採用したクロノグラフである。ゴールドケースに異素材で、質感がまるで違うセラミックを使用することで、魅力をアップさせるとともに、今後の可能性を大きく広げている。もちろん、切削や加工・仕上げの技術は確かで、その美しさは言うまでもない。
ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン
8角形のベゼルとそのベゼルに裏蓋まで貫通する8本のビスを残すという斬新なデザイン。さらには、ケースはエッジを立たせ立体的に構築しながらも、とても薄く作られており、優れた装着感をも持ち合わせているという名作「ロイヤル オーク」に、スモークグリーンダイヤルの新作が加わった。ダイヤルは、通常の「ロイヤル オーク」と異なり、サンバースト模様。蓄光処理が施されたホワイトゴールドのアプライドアワーマーカーとロイヤル オーク針というシンプルな構成は、視認性もいい。シグネチャーロゴが12時位置、「AP」の文字が6時位置にあるのは“ジャンボ”の特徴でもある。ケース、ブレスレットの素材は、プラチナ950で、この組み合わせも新鮮。エクストラ シンという名があるように、ケース厚は8.1㎜は薄く、抜群の装着感である。ムーブメントは自社製「Cal. 2121」。22Kゴールドのローターが使用されており、ケースバックから見ることができる。
ロイヤル オーク オフショア ダイバー
「ロイヤル オーク」のデザインコードを大胆に発展させ、よりマッシブで現代的なスポーツウォッチに仕立てられたのが“オフショア”。そして、2010年に登場したのがこの「ロイヤル オーク オフショア ダイバー」で、オーデマ ピゲのような高級メゾンでは珍しい300m防水を誇る。「ロイヤル オーク」の特徴であるオクタゴンベゼルのビスは、通常アウターに搭載される逆回転防止ベゼルをインナーに納めることで残されており、一目でわかる意匠は健在である。「ロイヤル オーク」らしいダイヤルのタペストリー装飾も少々大きめのものが残されている。ムーブメントは、自社製自動巻きの新型「Cal.4308」を搭載。28,800振動/時のハイビート設計で、60時間のパワーリザーブを誇る。また、この“ダイバー”には、新たにインターチェンジャブル機能が導入され、簡単にストラップ交換が可能になった。それに伴い、ラバーストラップが付属するということだ。