文=大住憲生
クラシックなイギリス式紳士靴の王者といえば、なんといっても「ジョンロブ」である。19世紀に創業したこの老舗は、21世紀にはスニーカーの製造もはじめる。時代の要請に応える、ジョンロブのレザー製スニーカーを紹介する。
1970年代に既成靴がスタート
19世紀のイギリス・ロンドンに出自をもつ高級注文靴(ビスポーク)店のジョンロブは、1970年代にエルメスのグループ傘下に入ったことを機に既成靴(レディトゥメイド)の製造もスタート。そのイギリス式の質実剛健なスタイルのドレスシューズに自由や気品、エスプリのようなものを加味させた。現在では全世界に21店舗を展開し、そのうちの5店舗が国内にある。そのいずれの店舗でもビスポークができる。
ビスポークできるのは、オックスフォードといったオーソドックスでビジネスにふさわしい紐靴だけではない。乗馬ブーツなどのスポーツ用も多くの顧客から注文がある。なんといってもスポーツはジェントルマンの必修科目のようなものだから。これまでにドライブ、ゴルフ、ヨット、テニスといったスポーツシューズの注文を受けてきた。
スニーカーの定番、レヴァ(LEVAH)
ジョンロブ初のスニーカーがリリースされたのは、2003年。クラシックな革靴をスニーカーに仕立てたデザインが好評で、以降、レザー製のスニーカーは時代の要請もあり矢継ぎ早に発表される。いずれもビスポークのアーカイブから開発されたもので、2012年には英国の高級車、アストン・マーティンとのコレボレーションモデルとしてドライビングシューズを、2015年にアーカイブのコート(テニス)シューズからインスパイアされた、レヴァ(LEVAH)がリリースされる。2018年には裏地を省略したレヴァ・アンラインドが、より快適なモデルとして発売されている。
ジョンロブには、現行のモデルやアーカイブコレクションから、 好みの色、素材、サイズ、ソールなどを選んでパターンオーダーができるバイリクエストがある。ビスポークよりもかんたんに自身のスタイルを構築できるサービスだ。レヴァもバイリクエストが可能でスニーカーらしく色、素材、サイズだけでなく、タン部分のビンディングやアイレットも、またラバーソールもホワイトとナチュラルが選べる。
世のなかのカジュアル化はコンフォートへと流れている。快適さ、そしてフィット感がよいのは言うまでもないが、レヴァはカジュアルウェアだけでなくスーツにコーディネートしても遜色がない。つま先にキャップをかぶせたようなデザインは、ドレスシューズの代表格であるキャップトゥ。レヴァは、冠婚葬祭の儀式典礼といった、つまりフォーマルの場にふさわしいデザインのスニーカーなのだ。スーツに似合わないわけがない。タイドアップでもノーネクタイでも、Tシャツでもいい。誰にもストレスをかけないコンフォタブルなスタイリングができあがる。
問い合わせ:
ジョン ロブ ジャパン Tel. 03-6267-6010