サントリーが梅酒を造っていることは多くの人が知っていることとおもうけれど、100周年を迎えたことでも話題の、かの「山崎蒸溜所」で梅酒が造られていることはご存知だろうか?
このほど、サントリーが梅酒作り60年を記念して、2023年にリニューアルした、この山崎蒸溜所の梅酒、4種を味わうことができた。
ウイスキーから生まれた贅沢な梅酒
『サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド>』は、山崎蒸溜所が日本人に合うウイスキーをさぐるなかで「梅酒を貯蔵した樽でウイスキー原酒を作ってみよう」という発想を起点にしているそうだ。そこから、結果的に、山崎蒸溜所のウイスキー樽で熟成した梅酒という、逆方向の酒が出来上がった。
その山崎蒸溜所に関する梅酒は現在『サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド〉』(1,365円)、『サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉ウイスキーブレンド』(3,000円)、『サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉リッチアンバー』(5,000円)、『サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉EXTRA BLEND」(15,000円)』という4種類があって、高級梅酒なのだけれど(価格はいずれも税別希望小売価格)、これらは2023年にリニューアルされたもので、最後の『サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉EXTRA BLEND』は5月16日(火)に数量限定発売となる。
いずれも、少なくともウイスキーの熟成に3回以上使用した樽を使い、内側を遠赤外線でじっくり加熱した焙煎樽と、強い熱で焦がしたリチャー樽の2種類の樽でそれぞれ熟成した梅酒をブレンドすることで、厚みのある味わいを引き出している、というものだ。
『サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド〉』はスピリッツをメイン原料にした梅酒をウイスキー樽で貯蔵し、ブランデーなど複数の原料酒をブレンドしたもの。
『サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉ウイスキーブレンド』は、同様の梅酒に梅酒樽で熟成したグレーンウイスキーをブレンドしている。
『サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉リッチアンバー』は、梅酒樽で熟成したグレーンウイスキーと、モルトウイスキーがブレンドされている。
そして、5月16日(火)に発売される『サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉EXTRA BLEND』は、梅酒がブランデーベース。それをウイスキー樽で5年間熟成。さらに、梅酒樽で長期間熟成させたモルトウイスキーをブレンドする、というものだ。
さっぱりして大人っぽい『サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド〉』を基準とすると、『ウイスキーブレンド』は樽香がしっかりとついて、スモーキーさや苦味が感じられる。『リッチアンバー』はぐっと、甘みがあり、ドライレーズン的なニュアンスは、収穫したブドウを藁の上で乾燥させた甘口ワイン「ヴァン・ド・パイユ」を連想させる。
そして『EXTRA BLEND』。造り方を聞くと、ウイスキー的な方向にぐっといくのかな?と想像していたのだけれど、味わってみると、むしろ、ウイスキーの要素も、ブランデーの要素も、梅の味や香りに複雑味を与えることに寄与しているように感じられた。やはり比較対象はむしろ、甘口のワインなのではないか?
梅酒は日本独特の酒。独自の文化を独自に、そして妥協なく磨き上げていく、ものづくり精神は、実に日本らしいのだけれど、この道は、なんらかの普遍性に至るのではないか? そんな期待を抱いてしまった。梅酒をあまり飲まない人も、試してみて欲しい酒だ。