今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。

写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登

 今や、世界中の人々の足を飾る定番アイテムとなったスニーカー。その時々でリーディングブランドは移り変わっている。中でも近年、目覚ましい活躍を見せているのがアディダス。靴商人の息子であったアドルフ・ダスラーとルドルフ・ダスラーの兄弟がドイツで創業した、ダスラー兄弟商会がそのルーツ。

 同社はランニングやサッカー用のスポーツシューズを展開し、そのシューズを履いた陸上選手が金メダルを獲得したことにより、ドイツ国内で高い評価を獲得していく。しかし1949年に、経営方針の違いからダスラー兄弟は袂を分ち、それぞれ別のブランドを立ち上げることに。そこで弟のアドルフが設立したのがアディダスというわけだ。

 かように70年以上もの歴史を誇るブランドだけあって時代ごとに名作モデルが存在し、その時々でヒットを記録していることはご存知の通り。ここでは同社が生み出してきたデザインアーカイブの中から、今も入手可能な歴史的名作をピックアップして紹介する。

 

1. adidas Originals「STAN SMITH LUX」

スニーカー¥18,700/アディダス オリジナルス(アディダスお客様窓口)

ギネス認定“世界一売れたスニーカー”をリュクスにアップデート

 タイムレスなアディダスの象徴といえば2つ。1つ目は月桂樹の冠がモチーフとされるトレフォイルロゴ。2つ目はアッパーの補強と視覚的アクセントを兼ねるスリーストライプス。

 本稿の1足目として紹介する「スタンスミス」では、その後者をパーフォレーション(穿孔)によって表現しているのが特徴。シュータンにはモデル名の由来となったアメリカのテニス選手、スタンレー・ロジャー・スミスの肖像画がプリントされているのも然り。

 さらにこちらはアッパーに肉厚でソフトなレザーを使用し、快適なライニングを備えるなど素材にこだわってリュクスに仕上げられた一足だ。こなれ感のあるオフホワイトに深みのあるブルーで洗練された空気感を纏う。