アネモネがボトルに描かれたシャンパーニュといえば『ペリエ ジュエ ベル エポック』。シャンパーニュの最高峰というべきこの作品のボトルに、アネモネのモチーフが描かれてから120年という節目を祝う限定ボトル『ペリエ ジュエ ベル エポック 2013 120thアニバーサリーエディション』が登場。日本では、伊勢丹新宿店で開催される、シャンパーニュイベント「ノエル・ア・ラ・モード」にて一般販売に先駆けて抽選販売が行われ、一般会期開催前に早くも完売した。

ペリエ ジュエ ベル エポック 2013 120thアニバーサリーエディションギフト箱入り ¥ 41,613(税込)

ペリエ ジュエの象徴 ジャパニーズ・アネモネ

アール・ヌーヴォーの旗手であり、植物学者でもあったエミール・ガレが、「ペリエ ジュエ」のために、所持していた日本庭園に咲くジャパニーズ・アネモネ(秋明菊)をモチーフに、ボトルに直接、絵を描いたのは1902年のこと。

エミール・ガレがその2年後に亡くなり、ヨーロッパがベル・エポックと呼ばれた時代から第一次世界大戦へと突入するなか、エミール・ガレのボトルは日の目を見ることなく、1964年まで、封印されていた。

このボトルデザインが『ベル エポック』のデザインとして採用され、販売を開始したのは1969年。以来、アネモネの描かれたボトルは『ベル エポック』のみならず、ペリエ ジュエというブランド全体をも象徴する存在となった。

2022年は、このアネモネが初めて描かれた1902年から数えて、120周年にあたる。

それを祝って今年、『ベル エポック』は特別な限定ボトル『ペリエ ジュエ ベル エポック 2013 120thアニバーサリーエディション』(以下、アニバーサリーエディション)を発売した。そして発売と同時に売り切れてしまった。

違うのは見た目だけじゃない

このアニバーサリーエディション、そもそも『ベル エポック』自体が特別なところに輪をかけて特別だ。シャンパーニュで望みうる最良の畑で育ったブドウのうち、同じ収穫年のものだけを使い、1811年創立の老舗メゾン「ペリエ ジュエ」が威信をかけて造り上げる作品、というところは通常の『ベル エポック』と同様。

アニバーサリーエディションのベースとなる『ベル エポック』は2013年ヴィンテージ。これがまずちょっと特別で、1993年から、27年にわたって最高醸造責任者をつとめたレジェンド、エルヴェ・デシャンと、2020年10月に彼を継ぎ、第8代最高醸造責任者に就任したセヴリーヌ・フレルソンという、二人の達人の共作だ。

ペリエ ジュエ 第8代最高醸造責任者 セヴリーヌ・フレルソン(筆者撮影)

フレッシュネスと熟成感の高度な両立、そしてじっくりと向き合えば向き合うほど、果てしないとすら言えるほどの情報量が香りと味から感じられるのは『ベル エポック』ならでは。高級なワインというものがどういうものかを知りたい、という人には、これほど優れた教科書はないと言えるワインでもあり、熟成するとどんどん表情を変えていく、という面白さも持っている。

だから『ベル エポック』は、5年、10年おいてから飲む、というのも十分にありだ。

シャンパーニュは通常、最後の仕上げとして、門出のリキュールと呼ばれる、甘い酒を加えるけれど、アニバーサリーエディションは、ここにペリエ ジュエのもつグラン・クリュ(特級畑)出身の、ペリエ ジュエが最も得意とする品種、シャルドネを100%使った、特別な門出のリキュールを加えている。

1ボトルに使われる門出のリキュールの量は、決して多くはなく、料理で言えば調味料のようなもの。そこまでワインに大きく影響はしないかと思いきや、これが通常の2013年ヴィンテージの『ベル エポック』と比較すると驚くほどに独特の深みと複雑な表情をアニバーサリーエディションにもたらしている。

もしもこの特別中の特別なシャンパーニュを手に入れることができた方がいたら、早く味わってみたいという気持ちはよく分かるけれど、それをぐっと我慢して特別中の特別なシチュエーションが来るまで取っておく、というのを、筆者はオススメしたい。

ボトルデザイン、パッケージはもちろん特別

1902年に描かれたアネモネは120年の時を経て、さらに特別な意味を持っているように感じられる。というのは、気候変動がブドウの育成環境に大きな影響を与えているこんにち、自然との共生、生物多様性の保全は、すべてのワインの造り手にとって、喫緊の課題になっているからだ。美しいアネモネ、美しいワインを次の世代に伝えていく、という意思をペリエ ジュエはアートによって表現し続けている。

アニバーサリーエディションは、これまでもペリエ ジュエと協業してきたアーティスト『ミシャー’トラクスラー』によって「自然と共に」をテーマに、アネモネが新しくデザインされた特別なボトルとギフトボックスに身を包む。常に制作活動の中心に自然を置く『ミシャー’トラクスラー』は、アネモネの中でシャンパーニュ地方のブドウ畑にいる70種類もの生き物が色鮮やかに重なり合いながら共に生きている姿を描いている。

ボトルが見える特別なボックスはアニバーサリーエディションならでは。

このコンセプトは新ヴィンテージである『ペリエ ジュエ ベル エポック 2014』と『ペリエ ジュエ ベル エポック ロゼ 2013』のギフトボックスにも共通しているので、アニバーサリーエディションが手に入らなかった方にも、注目していただきたい。『ペリエ ジュエ ベル エポック 2014』(¥32,010(税込))と『ペリエ ジュエ ベル エポック ロゼ 2013』(¥58,519(税込))の特別ギフトボックス仕様は、期間限定での販売となる。