文=JBpress autograph編集部

シャンパーニュメゾン ペリエ ジュエが、ファッションと美術、両面で活躍する写真家 ヴィヴィアン・サッセンとのコラボレーションを開始した。公開されたビジュアルは「自然との共生」をテーマにしたもの。

 ヴィヴィアン・サッセンは、1972年アムステルダム生まれ。オランダのユトレヒト芸術学校(HKU)で学び、ファッションフォトグラファーとして雑誌、有名メゾンとのコラボレーションを行ってきた。また、アーティストとしても、綿密に計算し作られたシーンと偶発性によるシーンが混在する、虚実入り交じった作品、シュールレアリスティックな作品が、国際的に高く評価されている。

ヴィヴィアン・サッセン

 今回のペリエ ジュエとのコラボレーションでは、ヴィヴィアン・サッセンは、ペリエ ジュエの本拠地、シャンパーニュ地方 エペルネを訪問。ブドウ畑を撮影し、最高醸造責任者セヴリーヌ・フレルソンの言葉やワインセラー、そこで働く人々をモチーフに 、畑に生きる虫や植物を等しい比率で描くことで、人間をふくめ、すべての自然に生きるものは平等に尊い存在であることを伝える作品を生み出した。

 あわせて、公開されたムービーもあり、そこで語っている男性は、イタリア生まれの哲学者 エマヌエーレ・コッチャ。『The World We Share (人間が共生する自然)』と題した自身の作品を、サッセンが撮影した映像にのせて朗読している。

 

サステナビリティの表現方法

 現代において、産業がサステナビリティを無視することはありえないことだけれど、その表現の仕方は様々だ。

 そもそも、シャンパーニュ地方は、独自の「シャンパーニュの持続可能なブドウ栽培」認証を採用し、シャンパーニュ全体で2025年までに除草剤をゼロ、 2030年までに100%環境認証という目標を設定して、すでに20年以上、目標達成のためのさまざまな努力、協力関係の構築を実現している、環境先進ワイン産地。

 ペリエ ジュエも例外なく、サステナブルなワイン造りを推進している。とはいえ、このペリエ ジュエというシャンパーニュメゾンにとっては、自然への敬意、自然とシャンパーニュとの関係性は、アートをもって表現されるものだ。それは、1902年にアール・ヌーヴォーの巨匠、エミール・ガレがペリエ ジュエのためにジャパニーズ・アネモネ(秋明菊)を『ベル エポック』のボトルに描いたことにも代表される。

 直近では、昨年の夏に、オーストリア出身のデザイナーデュオ「ミシャー’トラクスラー」がデザインしたコラボレーションギフトボックス入りの限定シャンパーニュを発売している。植物、花、鳥から、小さな昆虫、現実では肉眼では見えない土の中の微生物やバクテリアまでも表現したこのアートボックスもまた、自然とペリエ ジュエとのつながりをアートで表現したものだ。

 今回のキャンペーンもこれと同様の発想。地球は人間と自然が共に生きる庭であり、人間と自然の間に無数の関係性がある、というメッセージを、さまざまな生命体を重ねて貼り合わせたコラージュのような作品で表現している。

 ワインでサステナブルというと、ついつい、自然栽培、というところに目が行きがちだけれど、それはサステナビリティの一側面に過ぎない。産業が持続的であるためには、それが、きちんと売れることも必須だし、その商品に出会って、わたしたちがそれについて考えることもまた、必要だ。

 だから、アートをもって、それを表現する、というのはまっとうなことだし、それに、こういったことは、やはり、ペリエ ジュエが率先してやっていってほしいと、シャンパーニュ好きとしてはおもってしまう。