ビー・エム・ダブリューが『BMW M5』の日本販売を10月2日(水)より開始した。価格は先代モデルと同じ1998万円。11月中旬からの納車開始を予定している。

BMW M5とビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長 長谷川 正敏氏

M5は単なるBMW 5シリーズのパワフルバージョンではない

BMWのMモデル、とりわけBMW M5は、外見こそBMW 5シリーズとよく似ているけれど、中身は「BMW M1」(1978-81年)やF1カーなど、レーシングカーを源流とするBMWの走りの頂点、BMWの魂のような存在だ。

BMW M1

それゆえに、日本発表も熱のこもったプレゼンテーションだった。最初に登壇したビー・エム・ダブリューの長谷川 正敏 代表取締役社長は、自身もプライベートで先代にあたる6代目のM5(F90)に乗っていると言い、M5を「ドライビング・モンスター」「何のチューニングも行わず本格的なサーキット走行ができるクルマ」と紹介した。

続く詳しい車両の説明においてもモータースポーツ直結、サーキット直結のテクノロジーで生まれたクルマであることを強調。また、日本では会社役員や士業といった責任あるポジションの人物に愛されるクルマであるとして、意のままに操れるBMW M5のドライビング体験は、自分の人生もコントロールしてゆける、という前向きで強い気持ちになれる、というオーナーの意見が紹介された。

伝統の4.4リッターV8にパワフルかつコンパクトなモーターが加勢するプラグインハイブリッド M5

新型 M5は、先代同様、4.4リッターV8エンジンをフロントに搭載する。このエンジンはモータースポーツに繋がる、クロスバンク型。ツインスクロールターボチャージャーを2基、向かい合うシリンダーの排気管を、あえてまたいで配置することで、排気の干渉とターボ遅延を抑制し、鋭いレスポンスとスムーズな加速を実現するという。

また、今回のM5は、Mモデル専用の8速Mステップトロニック・トランスミッションのハウジングに電気モーターを組み込んでいる。このモーターはBMWの特許技術 プリ・ギアリングによって450Nmものトルクを発揮するという。BMWはこれは6気筒ツインターボエンジン相当のトルクであるといい、この2つのパワートレインの力で、727PS(535kW)の最高出力と1,000Nmの最大トルクを誇る。四輪駆動システム「M xDrive」によってパワーを路面に伝達。結果、22.1kWhのバッテリーを搭載し、乾燥重量2,435kg (DIN)のM5は、静止状態から3.5秒で時速100kmにまで加速し、時速80kmから120 km/hまでは2.2秒で加速する(いずれも欧州仕様車の値)。

「M xDrive」は、ダイナミックスタビリティーコントロール(DSC)オンの4WDモードが基本だが、リアアクスルへのトルク配分が増加し、リアタイヤのスリップ許容量が大きくなるMダイナミックモード、そしてDSCオフの後輪駆動モードにも設定できる。

バッテリーとガソリンタンクはフロア下、ホイールベース内にレイアウトし、前後重量配分は伝統の約50:50を維持。そもそもが低重心だが、日本モデルではさらに通常のパノラマルーフ比で30kgも軽量のCFRP製のルーフが標準装備となる。加えて、路面状態や走行スタイルに合わせて瞬時に自動調整する電子制御式ダンパー「アダプティブMサスペンション」、左右の駆動輪でのトルクの差を抑制する「アクティブMディファレンシャル」、M5では初となる四輪操舵の「インテグレーテッドアクティブステアリング」も標準装備。電動化とともに足回りの高精度な協調制御を実現し、巨体に見合わぬ鋭い運動性能を実現しているようだ。そして、最高速度は通常モデルで250km/h。これを305km/hまで許容しつつ「Mカーボン・セラミック・ブレーキ」と専用のブラック・アロイ・ホイールを装着した「レース・トラック・パッケージ」がオプションで用意される。

充実した標準装備と先代から維持された価格

エクステリアはBMW 5シリーズをベースにしているが、キドニー・グリルはMモデルならではのブラック・キドニー・グリル、フロントフェンダーは5シリーズよりも75mmワイドに。リアには「Mカーボン・リア・スポイラー」、専用デザインのディフューザー、48mmワイドなリアフェンダーを装備している。

インテリアは、最新のBMWらしい「BMW カーブド・ディスプレイ」を含むM専用コクピット。MカラーのアンビエントライトやMマルチファンクションシート、レザーメリノシートやアルカンターラヘッドライナー、Bowers & Wilkins ダイヤモンド・サラウンド・サウンドシステム、アクティブシートベンチレーション(前席)、4ゾーンエアコンを標準装備している。

ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能、安全・運転支援システム、完全自動駐車可能な「パーキングサポートプロフェッショナル」、BMW コネクテッド・ドライブ、パーソナル・アシスタントなど、先進装備も一通りを標準装備。

その上で、電動化はBMWがやりたいからやっていること、そのコストを価格に転嫁しない、として先代同様の1998万円での発売となった。納車開始は、11月中旬からの予定。