ROKU〈六〉SAKURA BLOOM EDITION
2024年2月20日(火)数量限定発売
希望小売価格:5,500円(税別)

平野紫耀さんが主役だとはおもいつつも……

「サントリージン戦略説明会」というイベントに招待された。

このイベント、おそらく一番話題になるのは、平野紫耀さんが登壇したことと彼を起用したあたらしい「翠(SUI)」のTV CMなのだろう。件のCMは以下のとおり。

イベントの平野さんが登壇したセッションは楽しいものだったし、その後、サンプルとしていただいた新商品『翠ジンソーダ缶』を味わってみると、なるほど、これは「いと清々し。」柚子の香りをより引き出したという謳い文句には納得で、たしかにジュニパーベリーの風味も感じるから、これはジンなのだろうけれど、個人的な感想を言えば、あえてジンにこだわる必要はない。

いと、清々しいアルコール飲料として、気軽に楽しめばよいものだと感じる。

ROKU〈六〉はシリアスなジャパニーズクラフトジンだ

いっぽうで、ぐっと真剣に向き合ってしまったのがこれと同時にいただいた『ROKU〈六〉』だった。

バーボン・ウイスキー「ジム・ビーム」で知られるビーム社は2014年に全株をサントリーホールディングスが買い、2014年5月に社名を「ビーム サントリー」に変更した。この統合から生まれたジンが「ROKU〈六〉」だ。

2017年の登場以来、世界60カ国以上で展開、海外の販売ボリュームが約9割という、日本を代表するジャパニーズジンで、国内でも2,000円以上の国産ジンとしては約40%のシェアを誇り、日本国内での販売数量は2023年に前年比159%を記録したのだそうだ。

ジュニパーベリー、コリアンダーシード、アンジェリカルート、アンジェリカシード、カルダモンシード、シナモン、ビターオレンジピール、レモンピールという伝統的なジンのボタニカルに加えて、日本の四季を表現すべく、桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子も使用。それをどう使うのかはよくわからないのだけれど、ホームページをあらためて読んでみると

形状の異なる4基の蒸溜器を備えた「スピリッツ・リキュール工房」

にて

桜の繊細な香りや柚子の深みのある味わいなど、各素材の良さを最大限に引き出すため、職人たちは蒸溜器を使い分け、最適な蒸溜方法で原料酒をつくり分けています。
ボタニカルごとの特長に合わせて蒸溜した原料酒を、日本人ならではの繊細な感性でブレンドし、ROKU〈六〉の重層的かつスムースな味わいを生み出しています。

と書かれているので、すくなくともボタニカルを一緒くたに使うのではなく、複数のジンの元となるスピリッツ(原料酒)をブレンドしているようだ。

価格は700mlで4,000円(税別)といったところで、それは妥当と感じられるクオリティ。ペルノ・リカール社と組んだ「京都蒸溜所」の『季の美』が良きライバルだろう。

バリエーション展開に期待

となってくると、ROKU〈六〉には『ROKU〈六〉』1種類しかないのが寂しい。

ジンはカクテルにしてしまえば変化をつけられるとはいえ、ジャパニーズクラフトジンと呼ばれるカテゴリに入るジンは、何かで割るにしてもやっぱりその本来の味わいを活かしてこそ。だから元となるジンに色々とバリエーションが欲しい。そのほうが、飲むシチュエーションが広がるし、ロイヤルユーザーになる動機が生まれるし、なによりブランドとして華やかだ。

サントリーもそうおもったのか、ここに来て初の限定品として『ROKU〈六〉SAKURA BLOOM EDITION』を2月20日(火)から発売するという。発表によれば、複数の桜花・桜葉の原料酒をブレンドすることで「まるで桜餅のような上品で甘い香り、豊かに桜を感じられる味わい」を実現しているそうだ。

2024年、サントリーは大阪のスピリッツ・リキュール工房を建て替え&新設し、浸漬タンクは5基新設、蒸溜釜4基は更新、開発生産設備も新設することで、原料酒の生産能力を2倍にするという。その力が「ROKU〈六〉」をブランドとして、より豊かにすることに期待したい。