フェラーリのいわゆるスペチアーレであり、公道走行可能な初のXXモデル、フェラーリ『SF90 XX Stradale』が日本で初公開された。

フィラーリジャパン代表 ドナート・ロマニエッロ氏とフェラーリ極東・中東地域代表 ディーター・クネヒテル氏

レーシングカーに限りなく近いロードカー

モデル名にXXとつくフェラーリは、「XX プログラム」から生まれたモデルであることを意味する。これまでは、選り抜きの専門的なカスタマー・ドライバーを対象に、公道走行の承認は得ていないものの、サーキットにおける限界走行が出来る究極のモデルとして提供されていた。

SF90 XX Stradaleは、このXXモデル譲りのサーキット走行性能を有しながら、公道走行可能としたモデルであり、同時に、公道走行可能なフェラーリのなかでの究極のモデルである、スペチアーレの最新版でもある。

F1日本グランプリを週末に控えた9月20日(水)、レーシングドライバー シャルル・ルクレールをゲストに迎えて、ついに日本での公開となった、このSF90 XX Stradaleは世界799台限定かつ、すでに完売(このほかSF90 XX Spiderが599台販売されたが、そちらもすでに完売)。

クルマがドライバーの意図を読む

クルマの詳細については、すでに世界初公開時に、大谷達也氏が詳しく解説した記事をJBpress autographでは掲載済みだけれど、簡単におさらいすると、カタログモデルの『SF90』とのルックス上の最大の差異にして、SF90 XX最大の特徴は、フェラーリの公道走行モデルとしては1995年にデビューした『F50』以来となる固定式のリアウイングを装備していること。

このウイングは、通常のSF90から再設計された「シャットオフ・ガーニー」とよばれるリアのアクティブエアロデバイスと相互作用し、ストレートでは空気抵抗を下げ、ブレーキング時や高速コーナーなどでは、抵抗を増やす。

これは車両側がオートマチックに制御するため、ドライバーはステアリングから手を放して、なんらかの操作をする必要はない。

リア側の変化とともに、フロント側は「Sダクト」とよばれる、フロント下部からボンネット中央のエア・ベントへと気流を導く構造によって、ダウンフォースを通常のSF90比で20%向上させている。

また、さらに高出力化したエンジンとモーターに合わせて、冷却系も再設計されているが、同時に空力特性にも好影響を与えるように仕立て直された。

4リッターV8ツインターボエンジンは、リアミッド、非常に低い位置に搭載。最高出力はSF90を13PS上回る797PS。

赤いカバーのあるエンジンブロックは非常に奥まった位置にある

さらにフロントアクスルの左右に独立して1基ずつ、エンジンとギアボックスの間に1基の合計3基の電気モーターが、エンジンとともに、システム合計1030PSの最高出力を実現している。

フロントのボンネット内部

この電気モーターには「エクストラ・ブースト」というフェラーリ初のビークルダイナミクスロジックが採用されており、サーキット走行時、Qualifyingモードにおいて、ドライバーがラップタイムを縮めようとアタックしていることをシステムが感知すると、コーナーからの立ち上がりに追加のパワーを発生させる。

ちなみに、パワーユニットやシャシーなど、クルマの内部はSF90をベースとしているものの、SF90とよく似たエクステリアやインテリアに関して言うと、手が加えられていない箇所がないほどに別物だという。

このSF90 XXが、オーナーのもとに到着するのは来年の夏頃からになるようだ。