NASAの宇宙飛行士ウォルター・"ウォリー"・シラーが所有、着用していたオメガ「スピードマスター」が、『RR オークション』にて190万7千ドル(約2億8,000万円) で落札された。
シラーは、1959年にアメリカ初の有人飛行計画「マーキュリー計画」に選ばれた宇宙飛行士の一人。1962年にマーキュリー、1965年にジェミニ、1968年にアポロの3計画に参加している。
今回落札されたスピードマスターは、記念シリーズ「ナンバード エディション」となる18Kイエローゴールド製の「BA 145.022」モデル。1969年から1973年にかけて1,014本のみ生産された希少なモデルで、そのうちの一部がNASAの宇宙計画に参加した宇宙飛行士に贈呈された。シラーは、ケースバックに「Astronaut Walter M. Schirra, Mercury 8 - Gemini 6 - Apollo 7」と刻印されている限定番号「8」を所有していた。
シラーは、オメガによる宇宙開発の歴史において象徴的な人物でもあった。1962年10月3日、マーキュリー計画のシグマ7号ミッションの際に着用していた腕時計「スピードマスター」CK2998は、彼の私物。これが、オメガの時計が宇宙で着用された史上初の事例となり、その後のオメガと宇宙との特別な関係を築くきっかけとなった。その数年後、NASAは「スピードマスター」をすべての有人宇宙ミッションにおける公式装備品として認定した。
2022年1月には、アポロ11号の宇宙飛行士マイケル・コリンズ氏に贈られた「スピードマスター」BA145.022が、オークションで765,000ドルもの値がついた。稀少な「スピードマスター」シリーズの人気の高さを証明する出来事と言えるだろう。