「カウフマン邸(落水荘)」や「グッゲンハイム美術館」で知られるアメリカ近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライト(1867‒1959)。彼は「帝国ホテル二代目本館」(博物館明治村に1976年、一部移築保存)や「自由学園」を手がけ、熱烈な浮世絵コレクター・ディーラーの顔も持つ、日本と縁が深い建築家でもあります。その「帝国ホテル二代目本館」が1923年の竣工から100年、グローバル・アーキテクトの先駆としてライトを紹介する「フランク・ロイド・ライトー世界を結ぶ建築」が開催中。彼の偉大な軌跡を辿ります。
取材・文=JBpress autograph編集部 ※画像写真の無断転載を禁じます
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初期のライトの作品と日本との関わり
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The Frank Lloyd Wright Foundation Archives (The Museum of Modern Art | AveryArchitectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)
ライトが初めて日本を訪問したのは1905年。ライトが建築家として歩み始める舞台となった商業都市シカゴで開催された万博で、日本のパヴィリオン「鳳凰殿」を知り、日本文化に触れたのがきっかけでした。
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浮世絵に着想を得て考案した新しい建築ドローイング、初の公共建築ユニティ・テンプルの100年前の模型、ライトが手がけた展覧会デザインなど、初期の貴重な資料が揃います。
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ライトが考えた、環境や気候に適った、人の生活を豊かにする有機的建築。さらに日本の変化に富んだ地形、山や滝のある風景、日本の植物との出会いに想像力が刺激され、やがて代表作「落水荘」へと結実しました。プレイリー・ハウスの代表作「クーンリー邸」、「ロビー邸」、また日本での作品「山邑邸(現・ヨドコウ迎賓館)」「小田原ホテル計画案」などが見られます。
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ライトは家庭生活や教育のあり方の変革に取り組んだ女性運動家たちともネットワークを形成しました。シカゴ郊外のオークパークの初期の自邸とスタジオは、建築の実験と、家庭生活や職場環境の近代化に対応し増改築が重ねられ、設計室や幼児教育のためのプレイルームを備えました。そして、帝国ホテル設計のために滞在した日本で「自由学園」を手がけるのです。
100年前の帝国ホテル模型を再現
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支配人の林愛作からの依頼を受け、日本に延べ3年以上滞在しながら帝国ホテル(建設期間1913-23年)を設計したライト。図面、写真、家具、かつて帝国ホテルの一部を構成していたテラコッタや大谷石のブロックなど、さまざまな資料の展示を通じてこの大建築を紹介。さらに同時期の1913年から1914年にかけてシカゴで設計した娯楽施設「ミッドウェイ・ガーデンズ」のドローイングも比較展示されます。
また100年前の帝国ホテル模型を、3Dスキャン計測データを用いた3Dプリントレプリカで公開。ライトが1930年代後半から取り組んだ、一般的なアメリカ国民が住んでいた安価で美しい住宅「ユーソニアン住宅」の原寸モデルで、ライト建築を体験できるなど、見どころ満載。アメリカ近代建築の巨匠の思想とその仕事、日本とのつながりが知られる絶好の機会をお見逃しなく。