シビックの上位モデルとして1976年に初代がデビューして以来、北米市場を中心に海外でも人気を博してきたホンダの世界戦略車「アコード」。2021年にレジェンドの生産が終了して以来、ホンダのフラッグシップモデルに位置づけられてきた同車がフルモデルチェンジを受け、11代目へと進化した。

発表会には唐沢寿明氏が登場

ユーザーからの不満を解消

初代から継承されてきた「人と時代に調和したクルマ」という思想を踏襲しながら、ホンダの最新安全技術や先進装備を搭載し、お客様が共により高みを目指せるようなモデルを目指して開発されたと謳われる新型アコード。「Driven by My ACCORD 〜相棒アコードとより高みへ〜」というグランドコンセプトが掲げられた。

開発責任者の横山尚希氏によると、例えば従来モデルでは発進加速にもたつき感があるとの市場からの声を受け、新型ではエンジン、モーターいずれのトルクもしっかりと上げながらスムーズな加速を実現。また、エンジン回転が高止まりして加速Gとサウンドがアンマッチするラバーバンドフィールといわれる現象についても、加速Gとエンジン回転を合わせ込み、より気持ち良く爽快な走りを楽しめるようにするなど、お客様の気持ちに寄り添うクルマに仕上げることに注力したという。

ワイド&ローのエクステリアとクリーンなインテリア

エクステリアは、Cピラーを傾斜させることでフロントノーズからリアエンドまでが流れるようなラインを描く、クーペのようなシルエットが特徴。また、フルLEDの薄型フロントヘッドライトと、横一文字のリアコンビネーションランプにより、ワイドな印象が強調されている。

ボディサイズは、全長4,975×全幅1,860×全高1,450mm、ホイールベースは2,830mm。ホイールベースと全高は先代モデルと同じながら、全長を75mm、リアドレッドを10mm延長することで、さらにロー&ワイドなフォルムを実現したしている。

一方、ブラックを基調としたインテリアは、手に触れやすい部分にソフト素材を使用するなど上質感を演出。インパネラインやドアラインなどには、マルチカラーのLEDアンビエントランプが標準装備され、ドライバーは7色のなかから好みのカラーを設定できる。また、運転席には水平基調のインストルメントパネルを採用。視覚的なノイズを少なくし、ドライビングに集中できる空間を目指したという。インターフェイスは12.3インチ Honda CONNECTディスプレー、10.2インチデジタルグラフィックメーター、さらに11.5インチ相当の大型ヘッドアップディスプレーとう構成で、使いやすさと視認性が向上した。

さらに、エアコンやオーディオソース、音量、照明の色や明るさなどの設定を組み合わせて登録し、1つのダイヤルでまとめて簡単に操作できる「エクスペリエンス セレクション ダイヤル」が、国内向けホンダ車として初採用されたのも新型の特徴だ。

e:HEVをさらに磨いて搭載

走りについては、市街地から高速道路まであらゆるシーンを想定し、パワートレーン、ボディ、シャシーなどについて総合的に磨き上げることで、前述の横山氏の言葉にあるように、ドライバーの意思に寄り添う素直なレスポンスと操縦安定性を実現したという。

パワートレーンには、モーターならではの走りの楽しさや上質さと低燃費を高い次元での両立させた、ホンダおなじみのハイブリッドシステム「e:HEV」を採用。2リッター直噴アトキンソンサイクルエンジンと、新開発の駆動用高出力モーターと発電用モーターを内蔵した電気式CVTを搭載する同システムは、先代モデル比でエンジン最大トルクが7kW、モーター最大トルクが20kW向上。優れた静粛性を実現し、e:HEVによる上質で爽快な走りに磨きをかけたとしている。

ドライブシーンなどに応じて走りのテイストが選べるドライブモードスイッチは、「ECONモード」「COMFORTモード」「NORMALモード」「SPORTモード」のほかに、自分好みの設定を登録できる「INDIVIDUALモード」も用意される。

アクセルオフ時の減速の強さ選択できる減速セレクターは、先代モデルの4段から6段へと多段化。最大減速度を大幅に高めるとともに、より自在な減速度コントロールを実現したという。減速段を6段に固定すると、加減速のほとんどをアクセルペダルだけで行える、いわゆるワンペダル走行も可能となる。

新型アコードでは、新開発の車両制御システム「モーションマネジメントシステム」が国内向けホンダ車として初搭載された。コーナリング時にスムーズな車両挙動を支援する電子制御システム「アジャイルハンドリングアシスト」に、新たに「前荷重制御」技術を追加したもので、滑りやすい雪道やウェット路面から市街地やワインディングロードまで、さまざまな走行シーンでドライバーが意図した通りに運転できるようシステムが支援する。

充実したADAS

先進運転支援システムに目を向けると、最新の全方位安全運転支援システム「Honda SENSING 360」が国内向けホンダ車として初めて搭載された。約100度の有効水平画角を持つフロントセンサーカメラに加え、フロントと各コーナーに計5台のミリ波レーダーを装備することで360度のセンシングを実現。従来の「Honda SENSING」に対して、車線変更支援機能、車線変更時衝突抑制機能、前方交差車両警報という3つの機能が新たに追加された。

Googleを搭載したのも国内向けホンダ車としては初となる。これにより、Googleアシスタント、Googleマップ、Google Playを車内で簡単に利用できるように。日頃よりスマートフォンなどで使用しているアプリをドライブでもシームレスに使えるようになった。

ところで昨今、セダンのマーケットが世界的に縮小傾向にあるが、そのような状況においてもなおセダンを提供する意味について、開発責任者の横山尚希氏は以下のように語った。

「セダンは、3ボックス(構造)だからこそのパフォーマンスの高さであったり、静粛性や快適性であったりを叶えられます。さらに、スリークなシルエットもセダンだからこそといえます。新型アコードは、単なる移動手段ではなくて、移動を特別な時間に変えてくるクルマに仕上がっています。このクルマを通して、多くのお客様にセダンの魅力を再認識いただけたらと考えています」

新型アコードの価格は544万9400円で、発売は3月8日となる。