『ミシュランガイド 福岡・佐賀 2014 特別版』で一つ星を獲得した会席料理店『あかね荘』が生産から携わる幻のブランド牛「筑穂牛」。門外不出のこの和牛が通販を開始した。

和牛が苦手な人も止まらなくなる。魅惑の和牛

福岡県飯塚市にある会席料理店『あかね荘』。飯塚市と太宰府天満宮付近とをつなぐ「筑紫野筑穂線」と呼ばれる県道65号の、ひとけのない山道の途中に異様な光景を生んでいる名店だ。というのも、この店の前の駐車場には、県外ナンバーのクルマが深夜まで満車状態。お目当ては、一見するとなんでもない民家にしか見えないこの店が生産から携わる、幻のブランド牛「筑穂牛」の料理。

名物、筑穂牛のしゃぶしゃぶ

炭鉱の町だった飯塚市山口で小さな家庭料理店としてスタートした『あかね荘』。地元に「筑穂牛」というブランド牛が誕生すると、これをすぐに取り入れて、しゃぶしゃぶ、ステーキを始めた。この料理と居心地のよい家庭的なサービスが人気を呼び、あれよあれよという間に、近隣の都市、飯塚市は言うに及ばず、九州全域にその名が知れ渡るほどの有名店に。2014年には、ミシュラン一ツ星を「知らぬ間に」獲得してしまった。

ところが、その名店に危機が訪れる。新型コロナウイルスの蔓延により、飲食店での消費が減ったことを契機に、地元の筑穂牛肥育農家が相次いで廃業を決定したのだ。このままでは店の看板料理がなくなってしまう。その危機に、三代目当主 井上直樹さんは「じゃあ俺がやってやる」と立ち上がった。

なじみの肥育農家 瓜生貞之さんと組んで、筑穂牛を『あかね荘』で育てることを決意したのだ。

それから苦節2年ほど。料亭が畜産をやる、という「無茶」「無理」を通し続けた井上さんのマイ・筑穂牛がついに出荷を迎えた。

直売所オープンを喜ぶ当主 井上直樹さん

一般的な和牛との違いは、穀物を最初に与えず、地元の稲ワラ、瓜生さんが栽培する「イタリアン」と呼ばれる牧草を与えて健康的な肉体を作ったあとで、穀物類を与えて太らせていくところ。

結果、欧州のグラスフェッドビーフのような赤身の旨味と和牛ならではのサシの旨味の「いいとこ取り」をしたような、奥深い味の牛肉となる。

さらに、「一頭買い」状態が実現したことで、筑穂牛の直販も開始!現状、月にわずか3頭ほどしか出荷されない、超希少ブランド牛ながら、目を疑うようなお手頃価格で販売されている。

あかね荘に隣接する直売所では、希少部位も手に入る

現地に行けない方でも大丈夫!

なんと、通販まで開始したのだ。こんな値段で買えるのは、まだ世に知られていない今だけかもしれない! ナチュラルに育つ筑穂牛の肉質は、一般的な和牛よりもずっとスッキリしているので、老若男女、誰でもベロベロ食べられる。ゆえに、ちょっと多めに買うことをオススメしたい。