2024年11月中旬から『クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン』の2024年ヴィンテージが順次発売される。来年のワイナリー創立40年目を祝う「40TH VINTAGE」となる本作はとてもいいワインだ!
ソーヴィニヨン ブランとニュージーランド
ソーヴィニヨン ブランというブドウ品種の起源はフランス・ボルドーにあるとされ、いまもボルドーの白ワインにとって、とても重要な品種です。ほか、ロワール川流域も起源とされていて歴史的産地があります。
現在は世界でもっとも広く栽培されているブドウだそうで、もともと、ブレンド用にも甘口にも使われる懐深いブドウですが、この数年は「ブームなんじゃないか?」とおもえるほど、世界中で様々なスタイルのワインがこのブドウから造られています。そのため、教科書的にソーヴィニヨン ブランのワインとはこういうもの、というのがとても難しくなってきていますが、黄色っぽい色で、レモンやグレープフルーツのような酸味強めの柑橘のフレーバー、牧草やピーマンのような青々しさ、パイナップルやパッションフルーツのような南国のフルーツのニュアンスを持つのが基本的な特徴とされています。
そして現在、その王道のソーヴィニヨン ブランの代表的産地とされるのがニュージーランド。山が多く、それほど豊かではなかったこの国は、ワイン産業によって変わった! というほどにブドウ栽培と相性が良く、このことが判明してワイン産業が勃興すると、ニュージーランドワインは世界的に高く評価され、ニュージーランドは世界トップクラスの高級ワイン産出国となりました。(平野の少ない山がちの国土ゆえ、そもそも大規模生産型の手頃な価格のワインを造るのには不向き)
1985年にワイナリー「クラウディー ベイ」を興した醸造家 デヴィッド・ホーネンはまさにこの、国のムードすら変えることになったニュージーランドワインの生みの親のひとり。そして、クラウディー ベイのスタートを飾ったブドウにしてクラウディー ベイの代表作こそ『ソーヴィニヨン ブラン』です。いまや、ソーヴィニヨン ブランは、あるいは白ワインは、これを外しては語れないほどのベンチマークと言っても過言ではないでしょう。
誰にでもおすすめできる傑作
もともと環境に恵まれ、かつ環境保全も進んでいるため、ヴィンテージ(ブドウ収穫年)による差が小さいというのは『クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン』を大きく見た際の特徴かつ強みです。
ただ、じゃあ、年による違いが感じ取れないほどか? と言うとそんなことはなく、ヴィンテージによる個性はしっかりとあります。クラウディー ベイの中核ともいえるテクニカル ディレクターのジム・ホワイトさんは、それらの違いは自然の違いであって、造り方は変えていないと言います。
その造り方というのは、産地や醸造法の違う80以上のソーヴィニヨン ブランのワインを造り、ここから50程度のワインを選び出してブレンドする、という贅沢なもの。ただ、2020年あたりから『クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン』は、ちょっと複雑さを増したような印象がありました。これは一般的には素晴らしいことなのですが、このワインの場合、快活さというのか、パッと明るいイメージも持ち味で、それが若干、難しいものになったようにも感じられたものでした。
ところが、最新作となる2024年は『クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン』らしい快活さを持ちながら、複雑な奥行きもある、この数年の集大成のようなワインでした。直近で、これに近いヴィンテージは2019年ではないかとおもいます。誰にでもおすすめしやすいワインではありますが、この頃の『クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン』が好みの方には、2024年は一層嬉しい一作となるはずです。
季節が逆の南半球のワインゆえ、これが2025年の大半の時期で販売される『クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン』でもあり、つまり40周年を記念する作品。情報によると2024年は春の開花時期が寒く、霜も降り、その後、記録的な干ばつが10カ月間も続いたという、ソーヴィニヨン ブランにとっては厳しい年だったそうです。しかし、仕上がりを味わうと、そういう困難をクラウディー ベイチームは乗り越えたということなのでしょう。
色々な食事、シチュエーションに合うとおもいますが、海や山で、焼き魚やフレッシュなサラダと一緒に味わうのはどうでしょう? そもそもクラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブランはそんなイメージがあるワインです。つまり2024年は「これぞクラウディー ベイ!」というワインなのです。