東京オリンピック以降もX GAMESやSLSといった主要国際大会で快進撃を続ける日本のスケーター。活躍する選手たちの姿に「自分もやってみたい」と思うものの、なかなか最初の一歩を踏み出せない。だが、スケートボードは子どもたちや若年層のためだけのものではない。実は、中高年にこそすすめたいスポーツだ。

文=川岸徹 写真=アフロ

柔軟性とバランス感覚を高めるスケートボード

「若々しく見られたい」「肥満を解消したい」「健康寿命を延ばしたい」。近年は健康や見た目への意識が高まり、ジムに通い、筋トレに励むビジネスパーソンが増えている。筋トレはもちろん重要だが、やり過ぎは逆効果を生むこともある。上半身をマッチョ化し過ぎたあまり、体の重心が崩れ、腰や膝により負担がかかるようになってしまった。それでは、筋トレに励んだ意味がない。増やした筋肉を有効に使うためにも、同時に柔軟性やバランス感覚も強化していく必要がある。

 バランス感覚や柔軟性を養うのに最適なスポーツがスケートボードだ。というのもスケートボードに乗るには、スムーズな重心移動が欠かせない。ボードへの体重のかけ具合によって、進行方向やスピードを調整していくためだ。足腰を柔らかく使いながら、全身のバランスを保ち続ける。これがスケートボードの基本であり、極意といえる。

 スムーズな重心移動を体得できるスケートボードは、他の競技からも注目を集めている。スキーやスケートボード、サーフィンといった競技のアスリートが、トレーニングの一環としてスケートボードを取り入れている。

 アスリートだけでなく、スケートボードは一般のビジネスパーソンにとっても有効だ。とくに中高年齢層。年齢を重ねるに従い、ちょっとした段差につまずき転びやすくなるが、体のバランスの取り方がうまくなれば、思わぬアクシデントを予防することができる。姿勢もよくなり、動作のひとつひとつが若々しく見えてくる。