時計をよく知る人なら、ハリー・ ウィンストンのメンズウォッチの印象は、複雑機構を搭載した独創性溢れる高級時計といったところだろう。今年登場したニューモデルは、これまでにレディスで人気を博してきた八角形ケースが印象的なコレクションのメンズバージョンだ。従来のイメージとは一見異なるこのモデルは、ブランド本来の気品が前面に出た、実にハリー・ ウィンストンらしい1本である。
キング・オブ・ダイヤモンド
ニューヨークの5番街に本店を構えるハリー・ ウィンストンは、1932年創業のハイジェエラー。創業以来80年以上に渡り、世界有数の宝石を獲得し、それを美しいジュエリーに変えることで、王侯貴族やハリウッド女優などを魅了し続けてきた。世界中の有名なダイヤモンドの1/3を手にしたことから「キング・オブ・ダイヤモンド」と称され、また、初めてアカデミー賞授賞式でジュエリーを貸し出したことから「スターたちのジュエラー」とも言われている、世界最高峰のブランドである。
そのハリー・ウィンストンが時計を手掛けはじめたのは、1989年のこと。革新的なジュエリーデザインを考案してきたデザイン力に加え、スイスの工房による高い製造技術を擁した腕時計は、その完成度の高さから当初から高い評価を得ていた。
そしてさらに著名な独立時計師とのコラボレーションという画期的な取り組みをした「オーパス」シリーズや、ジルコニウム合金のザリウムをケースに使用した「プロジェクト Z」シリーズといった独自の試みによって、さらなる注目を集めることとなる。ジュエラーとしての腕時計ではなく、本格的な腕時計ブランドとして認知されることは、時計製作においては、この上なく大きな意味と価値をもつことであった。
そんなハリー・ウィンストンが今回新たに発表したのは、シンプルな2針のドレスウォッチ。超高級ブランド、ハリー・ウィンストンを日常的に身に纏うことができるシンプルなデザインが魅力だ。ダイヤモンドのエメラルドカットのフォルムをケースにかたどった「HW エメラルド」コレクションには、ブランドの美意識が細部にまで注ぎ込まれている。
もっとも愛したダイヤモンドの形
そのエメラルドカットは、創始者ハリー・ウィンストンがもっとも愛したダイヤモンドの形でもある。なぜならば、エメラルドカットはそのカット面の広さから石の個性を最も強く反映するからだ。ブランドロゴにまで八角形が取り入れられているのをみれば、彼にとって非常に思い入れのある形であることが理解できるだろう。
独特な八角形のケースは、多面的なファセットが美しく、気品溢れる表情を見せる。もちろん、スーツやジャケットスタイルとの相性はよく、品格をあげてくれるのは言うまでもない。ケースの大きさも程よく、クォーツムーブメントを選択したことでケースを薄くすることがきており、当然、袖口を邪魔しない。
しかも、エレガントなドレスウォッチは、カジュアルなスタイルにもマッチする。巷間、よくドレスウォッチよりもスポーツウォッチの方が万能性は高いと言われているが、それはアクティブな趣味にイメージが引きずられているからであろう。決してオフタイム=激しい運動ではないのだ。
街に出て、ショッピングをしたり、ランチに行ったりというのが、一般的なオフタイムの過ごし方なので、服装はカジュアルウエアをスタイリッシュに着こなすことを心掛けるに違いない。その場合は、やはり洗練されたドレスウォッチが似合うのである。ダイヤモンドセッティングのモデルでさらなる格をプラスするのもいいだろう。
「HW エメラルド 33mm」は、全部で4型の展開。ホワイトゴールド×ブルーダイヤルとローズゴールド×シルバーダイヤルの2型を基本に、それぞれにダイヤモンドセッティングのモデルが用意されている。
コーディネイトの最後のピースは、腕元。自身をどのように演出するかで、相手の印象は変わってくる。エレガントに装いたいのなら「HW エメラルド 33mm」は、当然、選択肢の一つに入れておくべきである。