文=福留亮司

つねに時代にマッチしたモデルを発表してきたボーム&メルシエは、今年、ラグスポといわれる分野の『リビエラ』の新作をローンチした。初の自社開発ムーブメントを搭載し、満を持しての登場である。

『リビエラ ボーマティック』
特徴的な12角形のベゼルと4本のビス。ブレスレットは取り替えが簡単なインターチェンジャブル。自動巻き(Cal.Baumatic BM13 1975A)、ステンレススティールケース、42㎜径、45万1000円

時計界のトレンドセッター

 1830年創業のボーム&メルシエは、伝統ある時計ブランドが軒を連ねるスイスでも6番目に古いといわれる老舗である。ただ、そのラインナップからは古さは感じられない。それはこのブランドが、伝統を継承しながら常に時代を意識した時計づくりを実践してきたからだ。いわゆるトレンドセッター的なイメージが強いブランドなのである。

 ボーム&メルシエがつくり出すミニマムなデザインは、いつの時代にもフィットしてきた。それは創業以来、ほぼムーブメント製作を行わず、デザインと仕上げの秀逸さで伝統を継承してきたことでもわかるだろう。

 デザイン同様仕上げの美しさにも定評があり、ポリッシュ&サテンを絶妙なバランスで配したケースやブレスレットは、細やか、かつ重厚に仕上げられており、最上級の美しさを誇っている。価格以上の価値がある、とまでいわれるほどだ。

 そんなボーム&メルシエのラインナップの中でも、スポーティなフォルムを持つコレクションが『リビエラ』である。1973年に地中海フレンチ・リビエラのライフスタイルにインスパイアされたものなので、エレガンスかつカジュアルというのがコンセプト。自由、楽しみ、などを腕時計に表現したという。いわゆるラグジュアリースポーツという分野の腕時計である。

 2022年は、その第5世代といわれる『リビエラ ボーマティック』が登場。50年近く継承してきた力強いフォルム、4本のビスがついた12角形のベゼルは継承されており、一見、オリジナルモデルと変わりはない。

 

自社ムーブメントCal.Baumaticの搭載

 大きな変更点は、なんといっても18年に開発されたボーム&メルシエ初の自動巻き自社ムーブメントCal.Baumaticの搭載である。『クリフトン』に搭載されてきた自社ムーブメントを今年は『リビエラ』に載せたのである。

 あらためてCal.Baumaticについて説明したい。これはリシュモングループのムーブメントメーカー、ヴァルフルリエとリシュモン開発チームとの協力体制において開発されたものだ。

風貌は傷がつきにくい両面無反射コーティングが施されたサファイアクリスタル。八角形のリューズにはΦファイマークのロゴが刻まれている

 改良された合金製バレル、Powerscape ™テクノロジーを採用したシリコン製エスケープメント、Twinspir™テクノロジーをとりいれたシリコン製テンプによって、安定したトルクを保ち、約120時間、つまり5日間のパワーリザーブを実現している。さらに、日差-4/+6秒という高い精度。使用された部品が1500ガウスの磁場に耐えられるもので、従来の時計の25倍もの耐磁性を備えている。このスペックを聞くだけで、実用性の高いムーブメントだということがよくわかる。

 さらに、ストラップ、ブレスレットを簡単に付け替えられる「インターチェンジャブル」機能も装備されており、自由、楽しみがしっかりと表現されている。

 新しい『リビエラ』にはベゼルにチタニウムを使用したモデルもラインナップ。こちらはCal.Baumatic 搭載モデルではなく、38時間のパワーリザーブを持った自動巻きモデルである。

『リビエラ コーストライン』
ナイトブルーのグラデーションダイヤルに散りばめられたダイヤモンドは63個。モナコからサントロペまでの海岸線型取っている。自動巻き、ステンレススティールケース、33㎜径、79万2000円

 また、今年はレディスも豊富にラインナップされている。ムーブメントはCal.Baumaticではないので、いずれも『リビエラ』という名だが、33㎜のステンレススティールモデルと“コーストライン”という名のついたダイヤモンドがセッティッグされたモデルがある。それから36㎜径が2モデルの計5モデル用意されている。

『リビエラ』
ホワイトのマザー・オブ・パールダイヤルの女性らしいモデル。ブレスレットはインターチェンジャブルが採用されている。自動巻き、ステンレススティールケース、33㎜径、34万1000円

 

問い合わせ: ボーム&メルシエ TEL:0120-98-8000