文=松原孝臣

2022年3月24日、世界選手権で三浦璃来・木原龍一組が銀メダルを獲得 写真=Raniero Corbelletti/アフロ 

快挙尽くしの今シーズン

 今シーズンのフィギュアスケートを振り返るとき、忘れるわけにはいかないペアの2人がいる。三浦璃来・木原龍一だ。

 日本のペアとして10年ぶり、日本人同士のペアとしては史上初のグランプリファイナル進出(新型コロナウイルスの影響により大会は中止)。北京オリンピックでは団体戦で日本初の表彰台となる銅メダルに大きな貢献を果たし、個人戦では史上初の入賞となる7位となった。迎えたシーズンを締めくくる世界選手権でも史上初の銀メダルを手にした。

北京五輪、フィギュア団体で日本は初の表彰台に 写真=新華社/アフロ

 今シーズン、「初」の文字がたくさん、並ぶ。

 その価値がどれだけ大きかったか。

 フィギュアスケートファンの間では周知だが、一般にあまり知られていない事実がある。ペアやアイスダンスは、日本ではさまざまな面で厳しい状況が続いてきたことだ。そもそもの話、男子、女子のシングルについては認知していても、ペアとアイスダンス自体を知らない人も実は少なからずいる。

 認知度、注目度の問題は、競技環境にもつながっている。強化面でのサポートの薄さ、練習する場所の確保の難しさ、そして競技人口の少なさなども生みだし、国際大会での成績もシングルほど上がらないことがまた悪循環をもたらしていた。だから、数々の好成績で脚光を浴びた三浦・木原のこの1年は大きな意味を持っている。

 画期的な2人の活躍の原動力として、2つの点に着目したい。