取材・文=吉田さらさ 写真=アフロ

大山祇神社 二の鳥居 

日本人の総氏神「日本総鎮守」

 広島県尾道市から愛媛県今治市までの島々を橋で結ぶしまなみ海道は、美しい風景を眺めながら車や自転車で旅ができる人気の観光地だ。その中ほどにある大三島のさらに真ん中あたりに、今回ご紹介する大山祇神社が鎮座している。

しまなみ海道 大三島橋 写真=アフロ

 祭神はオオヤマヅミノカミ。その名の通り大いなる山の神であるが、古くから海上交通の要衝だったここ大三島では、海の神という性質も持っている。また、記紀の物語においては、天孫ニニギノミコトの妻となるコノハナサクヤヒメの父神とされている。

 天皇家の系譜はここから始まるため、日本という国の原点はこの神とも言える。山と海を守る神にして天孫の義理の父。このように偉大な神を祀るため、この神社は、日本人の総氏神、すなわち「日本総鎮守」という名誉ある称号を与えられている。

 

神木であり信仰のシンボルでもある楠

大山祇神社 総門

 まずは境内をゆっくり歩いてみよう。昭和の雰囲気を色濃く残す参道をたどると、「日本総鎮守 大山積大明神」という神額を掲げた二の鳥居があり、続いて壮麗な総門がある。1322年に焼失したが、室町時代の古図をもとにして、平成23年に再建されたものだ。

小千命御手植の楠

 そこから真っすぐに歩くと、神門の手前に楠の巨樹がある。樹齢2600年を超えると言われ、根の周りは20m、高さ15・6m。大三島に大山積神を勧進した小千命が自ら植えたとされる「小千命御手植の楠」である。境内には、これ以外にも大小約100本もの楠が群生し、うち38本が「大山祇神社のクスノキ群」として国の天然記念物に指定されている。楠は神木であり、この神社の信仰のシンボルなのだ。