文=酒井政人

2021年1月2日、箱根駅伝往路5区を走る東洋大の宮下隼人(右)、駒澤大の鈴木芽吹 写真:アフロ

 箱根駅伝2022は駒大と青学大の2強+往路にアドバンテージがある創価大と東京国際大。この4校以外からも〝優勝校〟が誕生する可能性は十分にある。それぐらい上位校は実力が伯仲している。特に東洋大、順大、早大、國學院大は面白い存在だ。今大会のダークホースといえるだろう。なお東洋大以外の3校は「総合優勝」を目標に掲げている。

 

東洋大は松山と石田の快走がカギ

2021年12月7日、全国大学駅伝、4区を走る石田洸介(東洋大) 写真:SportsPressJP/アフロ

 前回3位の東洋大は主軸の宮下隼人(4年)と松山和希(2年)を欠いた出雲駅伝で3位を確保した。しかし、ふたりが復帰した全日本大学駅伝は6区と7区で崩れて、10位に沈んだ。それでも5区終了時で優勝した駒大の前を走っており、山のある正月決戦では〝チャンス〟が十分にある。

 チームの目標は「3位以内」だが、そのために酒井俊幸監督は「往路優勝」を奪いにいく戦略を立てている。前回2位だった往路は1区児玉悠輔(3年)、2区松山、3区前田義弘(3年)、5区宮下という経験者に、出雲5区と全日本4区で区間賞を獲得した石田洸介(1年)を加えたかたちが濃厚だ。

 そのなかで不安材料になるのが前回1年生ながら2区を区間4位と好走した松山の調子が上がっていないことと、石田に20㎞以上のレース経験がないことだ。2区松山が前回の再現レースができれば、スーパールーキーの〝3大会連続区間賞〟のアシストになるはず。主将・宮下は自身が持つ区間記録の更新を狙っている。復路メンバーは前回よりも充実しているだけに、松山と石田が快走したときの東洋大はかなり強い予感だ。

 

順大は東京五輪出場の三浦に期待

2021年12月7日、全国大学駅伝、2区を走る三浦龍司(順大) 写真:SportsPressJP/アフロ

 全日本大学駅伝で3位に入った順大は前回7位のメンバーが8人残っている。そのなかで一番の注目は東京五輪の男子3000m障害で7位入賞を果たした三浦龍司(2年)だ。本人は前回10位と不発に終わった1区での出走を希望。ラストスパートで世界と対峙した圧巻のスピードを見せつけるだろう。前回2区(区間10位)の野村優作(3年)と同3区(区間5位)の伊豫田達弥(3年)は今季10000mの自己ベスト(28分19秒01、28分06秒26)を大きく更新しており、前回以上の好走が期待できる。

 5区は前回13位の津田将希(4年)という経験者がいるが、今季ブレイクしている四釜峻佑(3年)も候補に挙がっている。爆発力では四釜が上。全日本8区で2人抜きの活躍を見せた四釜が区間賞争いに加わるようだと、往路を上位で折り返すことができるはずだ。

 復路は出雲2区で区間2位の平駿介(3年)、8区を2年連続で担っている西澤侑真(3年)、牧瀬圭斗、近藤亮太、吉岡智輝ら4年生が候補で充実した戦力を誇る。前回は出番のなかった四釜&平の「Wシュンスケ」の大活躍があれば、長門俊介駅伝監督が4年時以来、15年ぶりとなる総合優勝に近づくことができるだろう。