SBGZ001 手巻き(スプリングドライブ)、プラチナケース、38.5㎜径 800万円(税別) 限定30本

 2019年は、セイコーウオッチにとって大きな節目の年であった。今から50年前の1969年にその後の時計界を変革させる、クォーツムーブメントと初の自動巻きクロノグラフムーブメントを開発した年だからだ。また、機械式でもクォーツでもない第3の駆動方式、スプリングドライブも今年20周年を迎えた。そんな重要な年の新作の中から、スプリングドライブ搭載のグランドセイコーを紹介する。

 

グランドセイコーの誕生は1960年

 ジャパン・ウォッチを代表するブランドの一つであるグランドセイコーは、1960年に誕生している。といっても、当時はまだセイコーのいちモデルであり、まだ世界的に認知されるものでもなかった。ただ、志は高く、当時も時計大国として君臨していたスイスに肩を並べるという大きな目標を掲げていたのである。もちろん、それが現在よりも格段に高い山であったことは想像に難くない。

 そういった場合、大抵はすぐに大きな壁に打ち当たり苦節何十年となるのだが、グランドセイコーは精度面において、あっさりとその壁をクリアしていったのである。

 63年から「究極の精度を競う」スイス・ニューシャテル天文台コンクールに挑戦し始め、68年には上位を独占するに至ったのだ。そして、70年に発表されたグランドセイコーV.F.Aでは、日差±2秒以内という驚異的な精度を誇るまでに進化していたのである。

 そんなフラッグシップモデルであるグランドセイコーが、“Grand Seiko”ブランドへとシフトしたのが2017年。誕生から57年目のことであった。独立ブランドになったことで、モデルの幅はさらに広がり、それまでは考えられなかったスポーツ・モデルまでラインナップされることとなった。

 今年はブランドとなって3度目の新作発表となるのだが、ちょうどセイコーが誇る独自の駆動方式“スプリングドライブ”の20周年ということもあって、スプリングドライブ搭載の記念モデルがいくつかラインナップされている。

 スプリングドライブとは、機械式時計と同様にゼンマイの解ける力を動力源としながら、ICと水晶振動子により正確に精度を制御するというもの。つまり、メカニカルとクォーツの長所を併せもったハイブリッドムーブメントである。

 これによって、クォーツでは不可欠な電池が不要となり、温度変化や衝撃、振動などの外部環境の影響をほとんど受けず、安定した精度が保たれることになった。秒針の運びは滑らかなスイープ運針で、これもこの駆動方式の大きな特徴となっている。さらに持続力もあり、ベーシックなもので約72時間(3日)、最大約192時間(8日)のパワーリザーブを持ったキャリバーも存在する。

 

セイコー独自の駆動方式に加わった手巻きの新作

SBGZ003 手巻き(スプリングドライブ)、プラチナケース、38.5㎜径 600万円(税別)

 このスプリングドライブは、先にも述べたようにセイコー独自の駆動方式。現在、スイスでも製作しているブランドは、ほぼなく、一昨年に1モデルだけ類似のものが発表されたに過ぎない。しかも、かなり高額の商品だった。それほど稀少なムーブメントなのである。

 今年はそのスプリングドライブに、新開発の手巻きキャリバー「9R02」が加わっている。デュアル・スプリング・バレルとトルクリターンシステムを融合させた新機軸で、これによって約84時間のパワーリザーブを実現しているのだ。

 これを開発したのはセイコーエプソン塩尻事業所内にある「マイクロアーティスト工房」。スプリングドライブムーブメントを生み出す「信州の時の匠工房」にあるスペシャルチームだ。これまで「ソヌリ」、「叡智」といったセイコーが誇る超複雑時計を製作してきた部署で、「技能五輪金メダリスト」や「黄綬褒章」授章者を含む“現代の名工”を含めた約10名で構成される少数精鋭部隊だ。

 マイクロアーティスト工房は、2000年に時計の技能を継承する目的で設立され、組み立てはもちろん、複雑時計の設計から手掛けている。最先端の技術ではあるが、一つ一つ手作業で組み上げていく温かみがここにはある。それが名工たちの手によるものであるということが、このモデルの価値をさらに高めていると言ってもいいだろう。

 もちろん中身だけでなく、外装も従来のザラツ研磨を進化させた新しい技法で鏡面に仕上げており、そこもまったく抜かりはない。

 ここまで書いてきて、褒め過ぎという方もいるかと思うが、決して過大評価ではない。それほどグランドセイコーは卓越した腕時計である。時計王国スイスに負けない腕時計が日本にあることを改めて認識していただきたいのである。

SBGA211 自動巻き(スプリングドライブ)、ブライトチタンケース、41㎜径 62万円(税別)

問い合わせ:グランドセイコー専用ダイヤル 0120-302-617