文=小松めぐみ 写真提供=ANAインターコンチネンタルホテル東京

次世代のために環境を守るシャンパーニュ

 サステナビリティを意識した取り組みがさまざまな業界で進む昨今、ワイン業界では「サステナブル・ワイン」の人気が上昇中。「サステナブル・ワイン」とは、環境だけでなく、経済・社会的な持続可能性にも配慮して造られるワインのこと。シャンパーニュも例外ではなく、サステナブルな方法で造られたものが台頭してきている。そもそもシャンパーニュ地方は、2014年にフランスで初めてサステナブルに関する認証(VDC)を作成した“サステナブル先進地”。なかでもひときわサステナブルなアプローチで注目を集めているのが、1912 年創業の老舗メゾン「J・ド・テルモン」とレミーコアントロー社が手を結んで今年生まれた「メゾン・テルモン」だ。そのブランド名を冠した世界初のシャンパン・バーが、10月1 日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にオープンした。ホテルとしてSDGsへの取り組みを進めていた折に「テルモン」が日本に上陸し、そのブランド理念に共感してコラボレーションが実現したのだという。

「シャンパン・バー by テルモン」が位置するのは、ホテルの吹き抜けのロビーに面した3階の中心。そこには以前もシャンパン専門のバーがあり好評を博していたが、「テルモン」とタッグを組んだ現在は、「次世代のために美しい自然を守っていく」というブランド・コンセプトを落とし込んだバーに生まれ変わった。ゆったりと席を配置した店内は、ブランドカラーのグリーンと木目を生かしたシンプル・モダンなデザイン。床やテーブルの素材はすべて古材で、バーカウンターの背面は土壁だ。環境への配慮を意識した取り組みのハイライトは、店内中央に設けられたブランコのような椅子席 「スイングシート」。ブランコの揺れによって電力が発生し、人力発電の電力が壁面のディスプレイを照らす仕組みとなっているのだ。

開放感のある店内は、女性1人でも入りやすい雰囲気。全38席。シャンパーニュのラインナップは幅広く、「テルモン」を中心としつつ、他ブランドの銘柄も揃う。