正月の風物詩と言っても過言ではない箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)。2022年1月2日・3日に行われる第98回に向け、10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝、箱根予選会の見どころや、注目大学&選手を、箱根駅伝出場に出場し、陸上競技を中心に取材を続けるライター・酒井政人さんが紹介する連載がスタート。当日の観戦がより楽しめる情報をお届けします。ご期待ください。

文=酒井政人

2021年1月3日、第97箱根駅伝復路。トップでゴールする駒澤大の石川拓慎 写真=アフロ

箱根駅伝が惹きつける魔力

 正月の箱根駅伝は観る者を惹きつける魔力がある。汗、涙、絆。ある程度の年齢ならば、すでに失った「青春」を思い出させるものがあるだろう。

 学生ランナーたちがまぶしく映るだけでなく、10区間217.1㎞のストーリーは何が起こるかわからない。優勝争いはもちろん、10位までに与えられるシード権争いも熾烈なっている。筋書きのないドラマには毎回というほどサプライズが発生する。

2021年1月2日、箱根駅伝往路、スタートする学生たち 写真=日本スポーツプレス協会/アフロスポーツ

 箱根駅伝は関東学連に所属する大学しか出場できないため、「箱根」を目指して全国から有力ランナーたちが関東に集結する。全国大会である10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝よりも伝統と人気がある箱根で「勝負したい」と考えている大学が多い。箱根予選会のレベルも年々上昇しており、激化する一方だ。

 そのなかで昨季の学生駅伝は〝新たな時代〟の幕開けになったような気がしている。コロナ禍で10月の出雲駅伝は中止になった。11月の全日本大学駅伝は、前年のトップ3である東海大、青学大、駒大の〝3強対決〟が予想されていた。2区終了時で東海大が17位、青学大が14位、駒大が9位と序盤でつまずいたが、3校は最終8区で並ぶことになる。

 大激戦を制したのは駒大だった。2年生エースの田澤廉が18.4㎞で初めて前に出ると、18.6㎞でスパート。東海大を一気に突き離したのだ。

 駒大が6年ぶりの栄冠を飾り、学生三大駅伝で単独最多22回のタイトルを獲得した。東海大が23秒差の2位。3位には明大が入り、青学大は4位に沈んだ。5位早大、6位東洋大、7位帝京大、8位順大までがシード権を獲得した。