「ソフ鉄」という言葉の生みの親である女優の村井美樹さん。ソフ鉄とは、車窓の風景、駅舎や車両のデザインなどをソフトに楽しむ鉄道ファンのこと。ガチな鉄道ファンほどの知識がなくても、ソフ鉄ならではの視点で鉄道の魅力をぞんぶんに味わえるといいます。鉄道旅を愛して全国津々浦々を巡ってきた村井さんが鉄道の楽しみ方を披露する新連載、ご期待ください。

文=村井美樹 編集協力=西垣一葉(春燈社)

JR久留里線 写真=PIXTA

ソフトでゆるい鉄道好き

 最近、「ローカル路線バスVS鉄道乗り継ぎ対決旅」(テレビ東京)というバラエティ番組によく出演させていただいています。バスチームと鉄道チームに分かれてどちらが早く目的地まで到着するかを競う企画で、私は鉄道チームのリーダー。勝利のために、つい過酷なルートを選んでしまい、列車に乗り遅れないように、鉄道チームの皆さんを叱咤激励して、毎回全力でゴールを目指しています。そんな勝ちに執念を燃やす私の姿から、気づけば「鬼軍曹」という異名で呼ばれるようになってしまいました(笑)。

 でも、普段から「鬼軍曹」のような旅をしてる訳ではなく、本当はゆるい鉄道旅が大好きな「ソフ鉄」なのです。車両の細かな形式の違いやメカニカルな装置の部分など、鉄道の高度で専門的な知識はあまりないのですが、ローカル線に乗ってぼんやり揺られている時に無上の喜びを感じます。鉄道旅で出会う四季折々の風景やノスタルジックな旅情、レトロな駅舎や車両などに強く惹かれるのです。

 じつは、放送ではカットされてしまうことも多いのですが、乗り継ぎ対決旅の途中でも、私の鉄道愛が炸裂してしまうことがしばしばあります。美しい車窓、魅力的な駅舎や車両に出会うと、つい心を奪われてしまう。そんなゆるいソフトな鉄道ファンの視点から、鉄道の楽しみ方をご紹介していきたいと思います。