文=JBpress autograph編集部

©Tadanori Yokoo

 カルティエ現代美術財団は、東京ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3にて、個展『横尾忠則:The Artists』を開催する。会期は7月21日(水)から10月17日(日)まで。本展では同財団の依頼を受けた日本の美術家・横尾忠則が制作した肖像画シリーズ全139作品を、一挙に公開する。

 フランス・パリに拠点を置くカルティエ現代美術財団は、1984年の創設以来、現代アートのスポンサーとして長年にわたり多様なテーマの個展や企画展を開催してきた。そのジャンルは映画やダンス、絵画やデザイン、科学や哲学まで多岐にわたる。また、「最も多くの日本人を紹介した」フランスの文化財団でもあり、同財団によってこれまでに開催された日本人アーティストの展覧会は、森村泰昌、三宅一生、村上隆、北野武、石上純也など、じつに14にもおよぶ。そうしたなかで2006年にはヨーロッパ初となる横尾忠則の展覧会を開催しており、以来両者が育んできた信頼関係は本展にて結実する。

 2014年、創立30周年を迎えた財団はこの記念すべき年に横尾忠則を招聘し、これまでに財団が刻んできた展覧会の歴史に連なる世界中のアーティストや思想家、批評家、科学者らの肖像画を依頼。横尾は3か月の時間を費やしてこの制作に取り組んだ。完成した肖像画群は、全作品が共通して33×24cmのキャンパスに描かれた油彩画だ。ただし、その枠組みのなかで横尾は多彩なスタイルの表現を試みており、個性豊かな被写体たちをユニークかつ自在に描き出している。

©Tadanori Yokoo ©André Morin

 本展はこれらの肖像画群を、あたかも無限の会話の広がりを思わせるリボンのような空間構成で紹介。人々を映画的な旅へと誘い、横尾絵画の宇宙とその可能性の探求へと引き込む。財団の歴史を形づくってきたアーティストへの敬意と信頼の証は、横尾忠則の独創性と新たな表現方法への挑戦によって、このたび、肖像画となって一同に会する。

 なお、本展と同時期(10月17日まで)に、個展『GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?』(東京都現代美術館 企画展示室1F/3F)が開催される。カルティエ現代美術財団が所蔵する横尾の主要な2作品「五感の叫び」と「湯の町睡蓮(芸者鏡)」も紹介されるため、本展と併せて横尾芸術を堪能するまたとない好機となっている。