ムートン・カデ・ソーヴィニヨン・ブラン・オーガニック・バイ・ナタン
2024年7月に日本発売となった「ムートン・カデ」ブランドの新作。アルコール度数:12.5 度。希望小売価格:2,200 円(税込)

まずは飲んでみて欲しい

いま、一番新しい、ムートン・カデのオーガニックラインは美味しくて、悪酔いしないワインです。スッキリして爽やかな白と、もうちょっとしっかりめのピンク。どちらもいいワインだとワイン業界にそこそこ長居している私はオススメします。注意点は、飲みやすいけれど、ワインってアルコール度数がビールの2倍ちょっとあるので、調子に乗って飲みすぎないように、というのと、冷やして飲むのが美味しいけれど、そこはあんまり気にしなくても問題ありませんよ、ということくらいです。

優しい酸味と、旨味のある苦味がベースライン。難しいワインではないので、ちょっと柑橘類を加えて味をはっきりさせたり、氷を入れても美味しく飲めます

価格は2,200円(税込)です。もしもあなたが、生まれて初めてワインを飲んでみようとおもうなら、最初にいいワインを飲んで欲しい。ワイン通に100万円するようなワインをおごってもらえるなら、それは素晴らしいことです。でも、自分でこのワインを買うのも、充分、素晴らしいことです。

造ったのはワイン造りの名門中の名門、ロスチャイルド一族が営む会社で、白の方がこの一族の1999年生まれのナタンさん、ピンクの方が1993年生まれのマチルドさんがプロデュースしています。オーガニックだというのはさっき言いましたが、ついでにビーガンでもあります。

こちらはマチルドさんとピンクの方「ムートン・カデ・ロゼ・オーガニック」。白よりはしっかりめなので、塩味がハッキリしたお料理とかスパイスなんかとも合います

私は、20年くらい前から、このムートン・カデというブランドにはお世話になっています。10年くらい前にワイン業界に深く関わるようになってあらためて、ムートン・カデ ブランドの代表作「ムートン・カデ・ルージュ」という2,000円くらいの赤ワインをホントに好きになりました。仕事柄、びっくりするほど高級なワインを飲むチャンスもそこそこありますが、いまでも「ムートン・カデ・ルージュ」は好きなワインです。

今回の2つのワインは、そのムートン・カデの最新版、現代版です。きっとあなたもこのワインで、私が感じたのと同じような楽しさを感じるはずです。

ゆっくり楽しんでもいいし、仲間たちとワイワイ飲んでもいい。非常に買いやすいワインなので、ワイン選びに困ったら、ひとまずムートン・カデで問題ありません。

ムートン・カデ・ルージュ
ムートン・カデ・ルージュも販売中です。またこのワインのオーガニック版ともいうべき「ムートン・カデ・ルージュ・オーガニック」も販売されています(税込 2,200円)

ワインはブドウからできています

これで終わっちゃうのも、書き手としてちょっと寂しいので、もうちょっとだけ説明を書きます。

ムートン・カデは、世界一ワインをたくさん造っている地域、フランスのボルドーで最高峰とされているシャトー・ムートン・ロスチャイルドというワイナリーを経営するロスチャイルド一族の、当時まだ28歳だったフィリップ・ド・ロスチャイルドという人物が、ボルドーワインをよりカジュアルに楽しめるブランドとして1930年に設立。

現在はボルドーの色々な地域のブドウでワインの生み出すブランドとして活動しています。ボルドーでも最大規模のワインの造り手で、ラインナップも赤、白、甘口など、充実。あれこれ試して、この状況にはコレといった自分なりのムートン・カデ方程式を編み出すのは、おじさん的には、お気に入りの革小物を手入れして長く使うみたいな感覚で大好きです。

こういう時間を楽しむみたいな感覚はきっと若いうちはよくわからないはず。でも、年を取ればわかります。自分がいいとおもうものを、長く楽しみたいという感覚が生まれ、世間で評価されているブランドとの、いい付き合い方ができてくるものなのです。

ただ、それは未来の話でも、その前にワインという選択肢が、あなたの人生からなくなってしまうのは、ワイン好きとしては残念におもいます。「私はワインが好きじゃない」という人がそれなりの数いるのは知っています。でも、ワインはめちゃくちゃいっぱいあるんです。ワインの中には、あなたが好きなワインもきっとあります。

ワインはブドウからできています。農家が育てたブドウを人が上手に管理しながら腐敗させることで、ワインができます。科学実験でつくられたようなアルコールに人工的な香料や調味料を入れているわけではありません。少なくとも、ムートン・カデのこの2つのワインはそういうものではなくて、自然の恵みと人の技が生んだ飲み物です。あなたが好きになれる要素、あなたの人生を豊かにしてくれる要素、あなたが長く付き合うに値するものが、ここにはあるとおもいます。