2020年1月、横浜で開催されたアイスショーにて演技を披露する村元哉中、髙橋大輔。写真=アフロ

 年を経るごとに、と言っていいほど、認知度と人気を高めてきたフィギュアスケート。ただ、脚光を浴びているのは男女それぞれのシングル種目であり、男女ひと組となって行うペアやアイスダンスはその陰に隠れてきた。

 練習する場所など競技環境に恵まれず、競技人口も極めて少なく、シングルのように華々しい成績を大会で残すことができずにきた。それらの要素が関連し合い、悪循環のようでもあった。

 日本スケート連盟も手をこまねいていたわけではない。2014年のソチオリンピックから、シングル、ペア、アイスダンスによる団体戦が行われることが決まったのを受け、2011年からアイスダンスの人材発掘を目的とした合宿を開始した。

 その後、毎年開催され、9回目を迎えた昨年5月の合宿では、7組が参加するまでになった。オリンピックでの団体戦採用もあって、少しずつ、関心を寄せる選手は増えてきた。

 

髙橋大輔、アイスダンスへの転向

 さらにアイスダンスの今後に希望となる出来事が起こった。

 昨年9月、髙橋大輔が2019年12月の全日本選手権を最後にシングルでの活動を終了し、村元哉中をパートナーとしてアイスダンスに転向すると発表したのである。村元はクリス・リードとともに平昌オリンピックに出場するなど、アイスダンスでキャリアを重ねてきたスケーターだ。

 髙橋は2010年のバンクーバーオリンピックで日本男子初の表彰台となる銅メダルを獲得したほか、同年の世界選手権でもやはり日本男子初の優勝を果たした。これらの成績にとどまらず、長きにわたり、牽引してきた1人である。

 まぎれもない第一人者がアイスダンスに挑戦すること、しかも村元というアイスダンスで実績を持つ選手と組むことのインパクトは大きく、その発表は広く報じられることになった。

 きっかけは、クリスとのカップルを解消していた村元からの働きかけだったという。