独自の審美眼を貫く、世界のレジェンドたち。政治家から作家、思想家、建築家、ビジネスエリートまで、彼らが身に着ける品々から、その生き様も見えてくる。いかに洋服を楽しみ、相手への印象を考えて装っているのか、ドレスファッションに精通するスタイリスト四方章敬氏が解説。今回はハリウッドの一流映画監督であり、プロデューサー、脚本家、俳優としての顔も持つポール・フェイグのスーツスタイルを紹介する。自らが心地よく、見る者も楽しませるコーディネートの“名演”はアカデミー賞級!

写真=アフロ 協力=四方章敬 編集・文/名知正登

“お洒落は細部に宿る”を体現した正統からのくずし

写真=Jordan Strauss/Invision/AP/アフロ

 ロサンゼルスの歴史的なランドマーク、ウェストヴィレッジ映画館で開かれたクリスマスパーティーに出席。

「ネイビーのペンシルストライププスーツに白シャツ、ブルー系のタイと英国の薫り漂うオーセンティックな着こなしですが、ダブルのジャケットで貫禄が出てかっこいいですね。本人のキャラクターにとても合っています。奇をてらわない王道のスーツスタイルにラペル部分の飾り穴のブートニエール、手元のブレスレットで少しくずしているところにセンスを感じます。知的で愛嬌がある。こういった細部への気遣いが効いてくるのだなと感心しました」。