文=條伴仁 イラスト=日高トモキチ

 早いもので昨年末公開の『マトリック リローデッド』から1年が経ちましたが、すでに2023年に向けて『John Wick: Chapter 4』の予告が公開され、『Constantine 2』の製作も発表されるなど、安定した活躍を見せてくれるキアヌ・リーブス。今回は、そんな彼の多彩なフィルモグラフィーの中から、アクション映画寄りの歴史を復習しつつ、どこよりも気の早い『Constantine 2』鑑賞準備まで含めたプラスワンをお届けします。

 

代表作はやはり『マトリックス』シリーズ

「マトリックス」(1999) 写真=AFLO

 おそらくキアヌ・リーブスの代表作として多くの方が思い浮かべるであろう「マトリックス」シリーズですが、第1作『マトリックス』が公開されたのは1999年でした。その斬新でスタイリッシュなアクションビジュアルが、メディアやジャンルを超えて、数えきれないほどの作品に影響を与えたのはご存知の通りです。その後、2003年に『マトリックス リドーデッド』『マトリック レボリューション』が連続公開され、シリーズは一旦完結となました。

 今思うとスティーブ・ジョブズがAppleのCEOに復権したのが1998年、その後iPhoneの登場が2007年だったことを考えると、まだ私たちが日常的にサイバー空間の存在を意識していなかった時代に、この世界観を提示したこともまた、本作の偉業だったといえるのではないでしょうか。

 初期3作から実に18年を経過した2021年に『マトリック レザレクション』で再始動した本シリーズですが、時を経てオリジナルクリエーター二人の性別が変わったこと(※)はご存知のとおりです。一方で主人公のネオは変わらぬ姿を見せてくれたことにキアヌ・リーブスのプロとしての凄さを感じました。作品を取り巻く社会環境がやっと映画に追いついて来た今日、このシリーズがその先の何かを提示してくれるのか、期待して待ちましょう。

※シリーズの生みの親ウォシャウスキー兄弟(アンディ&ラリー)はともに性転換し、現在はリリー(アンディ)&ラナ(ラリー)となりました。