JR山手線の大塚。名前は知っていても降り立ったことはないという人も多い駅だが、ここには、夜な夜な日本酒ファンが集う銘酒処がある。志と経験値の高い猛者たちが目指すのはもちろん、地酒愛溢れるスタッフに相談すれば、ビギナーだって即楽しめる間口の広い店だ。
 酒が止まらない肴が揃うが、意外なのは、おすすめ料理の一品が「コロッケ」であること。正式名称は、「串駒手巻きコロッケ」。十分すぎるほどに気の利いたアテがある店で、なぜにコロッケ。しかも手巻きって、どんなだ?
 フィッシュ&チップスからイメージしたという細身の「手巻き」サイズに、ほっくりとした芋、アクセントとなるれんこんのシャキシャキ感。また、添えられたカレー塩が華やかに香りつつ、繊細な日本酒の甘みと合う。「揚げた芋はアテには重い…」などという考えを心地よく裏切ってくれる一品だ。
 今回は、女将がこの料理におすすめする日本酒も紹介しているので、レシピとともに今すぐチェックを!

串駒手巻きコロッケ

材料【5~6人分】

じゃがいも…500g
豚ひき肉…150g
れんこん…150g
玉ねぎ(粗めのみじん切りにする)…半個

酢…適量

無塩バター13g
マヨネーズ…15g
塩…5g
ブラックペッパー…2g

春巻きの皮(縦半分に切る)…適量

A
小麦粉…大さじ3~4
玉子…1個
水…大さじ3

パン粉(目の細かいもの)…適量
サラダ油…適量

カレー塩(カレー粉と塩を1:3の割合で混ぜる)…適量

作り方

1.れんこんの皮をむき、20分ほど水にさらしてアクを抜いた後、酢水で10分茹で、1㎝角に切る。

2.じゃがいもを洗って半分に切り、皮目に浅く包丁で切れ込みを入れて約20分蒸す。火が通ったら熱いうちに皮をむいてボウルに移し、つぶしておく。

3.フライパンを火にかけ、バターを溶かして玉ねぎを炒める。やや透き通ってきたら豚ひき肉を加え、火が通ったところにれんこんを入れて塩とブラックペッパー、マヨネーズで味付けし、火を止める。

 4.1のボウルに3を加え、しっかりと混ぜて冷ます。その後、冷蔵庫で1~2時間冷やす。

5.春巻きの皮に4をのせ、ブーケ状(円錐形)に包んで形を整え、Aを混ぜた液を塗って端を止める。

6.形を整えた5の上部まで4を詰め、上部表面にAを塗ってパン粉を薄くまぶす。

7.サラダ油を160℃に熱し、6の表面が固まるまで揚げて一度取り出し、180℃で表面がきつね色になるまで二度揚げする。

8.7の油を切り、器に盛ってカレー塩を添える。

女将がセレクトした、おすすめ日本酒3選!

十四代 本丸(高木酒造/山形県村山市)
女将曰く、銘酒「十四代」を知りたければ、まずはこちら。飲み口がやわらかく、米の甘みがキレイで、心地よく杯を重ねられる。

而今 きもと 赤磐雄町(木屋正酒造/三重県名張市)
しっかりと味わいに輪郭があるタイプ。岡山県産赤磐雄町の米の甘みと醸造法に由来する酸のバランスが見事な1本。

而今 きもと 秋津山田錦(木屋正酒造/三重県名張市)
同じく「木屋正酒造」の生酛。秋津山田錦の華やかさがありながら、インパクトが強すぎず、飽きずに楽しめる。

 教えてくれたのは

 女将の大林雪江さんと料理長・松本恵一さん

「お米の国、日本には気候風土や料理に合う、本当にしみじみおいしいお酒がたくさんあります。難しく考えず、気軽に日常に取り入れてみてください。また、今回ご紹介したコロッケは、串駒 創立者が熟考&試作を重ねて誕生した自信作。レシピを試して、機会があればぜひうちにも遊びにいらしてください」

店内に飾られている、1980年に創業した、旧本店の写真